より速く、安価な未来へ!
光ファイバーの速度限界に達した時、インターネットの終焉が始まるという説。これ、杞憂かも知れません。先週の木曜日、技術者たちがサイエンスに投稿した論文によると、彼らは光ファイバーの速度限界を突破し、将来的により大量のデータを遠くに、低コストで送信する可能性を切り開いたそうです。
世界全体でインターネットの需要が高沸するなか、電気技術者たちは、データをより高速で伝達するため、光ファイバーケーブルを通る信号を強くする事で対応してきました。しかし、光ファイバーには物理的な限界があります。出力をあげすぎると、データを運ぶレーザー同士が干渉しはじめ、最終的に信号が劣化し、データが消えてしまうのです。
ここ最近、速度限界によるインターネット恐慌がまことしやかに囁かれるようになりました。専門家の中には、終焉の時は早ければ5年以内にやってくるという人もいます。
だからこそ、この新しい成果はタイムリーなのです。カリフォルニア大学サンディエゴ校のQualcomm Instituteにて行われた実験で、電気技術者たちは光ファイバーの信号を20倍近く増幅することができました。そして過去の記録を破る7400マイル(約1万2000km)を通った信号は、高価な信号再生機を使う事なく読み取る事ができました。
光ファイバーにおいて、情報はキャリア毎に異なる周波数で伝達されています。しかし、ケーブルを通して光をより多く、早く伝達しようとすると、キャリア同士の光の混信や干渉が増えます。
長いトンネルの中で叫ぶところを想像してみてください。その声は、本人から遠ざかるほどエコーや歪みが増えていきます。これと似たような状態です。いずれ、信号の歪みは受信した側が解読できなくなる程ひどくなる時が来ます。
この歪みによる速度限界を超えるため、研究者達は情報が発信される前に信号を調整する広帯域の周波数コムを開発しました。調整する事により、途中で信号が受ける干渉が予想しやすくなるのです。受信した側は信号を解読し、元の情報を復元する事ができます。
サイエンスの論文の主任執筆者、Qualcomm InstituteのNikola Alic氏はこう語ります。
今日の光ファイバーはアリ地獄に似て、もがけばもがくほどより早く沈んでいきます。ある一点を超えると、光ファイバーの信号を強くすればするほど歪みが大きくなり、長距離を進む事ができなくなるのです。私たちのアプローチはこの限界を取り外し、リピータなどを使わず信号が進める距離を伸ばす事ができるのです。
この研究が実際にネットの改善に利用されるまでにはまだまだ多くの課題がありますが、私たちの情報がより速く、大幅に安価で伝達される未来に向けた頼もしい一歩です。またも、技術者達は限界などというのは私たちの想像でしかないと思い知らせてくれました。素敵な未来を想像しながら、とりあえずはネットサーフィンでもしますか。
image: Shutterstock
source: UC San Diego News
Maddie Stone - Gizmodo US[原文]
(scheme_a)