超伝導の高温記録更新か、−70℃で転移確認 ―独マックス・プランク研など - | Technity

Natureは30日(日本時間)、ドイツのマックス・プランク研究所などのグループが、203K(−70℃)という高い温度での超伝導転移を確認したとするニュースを伝えている。

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同研究所のMikhail Eremetsらは昨年12月、ダイヤモンドアンビルセル上に設置した10μm四方の硫化水素サンプルが、190K(−80℃)以下・150万気圧以上の環境で電気抵抗が急激に減衰するとした実験結果を報告(※1)。超高圧下に置かれた硫化水素が、比較的温度の高い領域で超伝導状態へ転移可能であることを実験的に示した。

Eremetsらは今回、独マインツ大学と共同で、50μm四方の硫化水素サンプルに最大200万気圧の超高圧をかけつつ絶対零度付近から徐々に温度を上げてゆく実験を実施。その結果、203Kを超えたところで硫化水素サンプルの電気抵抗が急激に減衰し、マイスナー効果が確認されたと報告している。

この記録に関する報告は、論文データベース「arXiv」上にアップロードされている。記事執筆時点では、査読付きジャーナルでの掲載は確認できていない。これまでの記録を大きく塗り替える結果だけに、今後は世界中の研究機関で追試が行われることになるだろう。

参考までに、現在広く認められている超伝導の高温記録は、2001年に秋山らがNature誌に報告(※2)した二ホウ化マグネシウムの39K(−234℃)である。

[arXives via Nature News]
(※1) Conventional superconductivity at 203 K at high pressures (arXiv)
(※2) Superconductivity at 39 K in magnesium diboride (Nature)