またまた新たな女装ワールドを見つけてしまった! それも全年齢向けなので、誰でも安心して読めるのがうれしい。「ComicWalker」で連載中のマンガ『みんなの知らないアイツ』(KADOKAWA 角川書店)だ。
入学早々、高校デビューに成功した喜びをかみしめる菅田さとりに、謎の美少女が声をかけるところから物語は始まる。五月女ルカを名乗る美少女の正体は、小学校の同級生で、さとりのトラウマにもなっていた男子・晃だった。
女の子なのにクラスのガキ大将だったさとりと、正反対に、男なのに女の子っぽくて、いじめられていた晃。ある日、晃はさとりに、クラスで流行っているオンラインゲームの最強プレイヤー「ルカ」が自分だと明かす。菅田だから明かしたという晃に、「ヒミツのキョーユー?みたいの! スッゲー気分イイ!!」と返すさとり。その後、さとりは、ゲームに勝ったら晃は女装して学校に登校する、という賭けをすることに。
翌日、ゲームに負けて本当に女装姿で登校して来た晃。当然クラスメイトからは変態扱いされてしまう。自分で提案しておきながら、さとりも「お前マジヘンタイだったんだ...」と吐き捨てる。その後、晃は誰にも告げずに転校。申し訳なさで、そのことがトラウマとなってしまったさとりは地味な中学生活を送り、心機一転、高校デビューを目指したのだった。
そんな矢先の晃の出現に驚く、さとり。晃=ルカは、さとりに再び賭けを提案する。3年間女装がバレなかったら、男として真っ当に生きる、と。
なんとシリアスな物語だろう......と思ったら、シリアス展開は17ページ目くらいで終了する。そんな2人の前に現れたのは、ルカが中学時代に一日だけ付き合っていた倖田先輩。なんでも、中学時代登下校時にだけ女装していたルカは、倖田先輩に一目惚れされて付きまとわれるのが気持ちよかったために付き合っちゃったのだとか。「一回しゃ○っだだけなのに、これだから童貞は」と言うルカに、さとりは半ギレで「お前マジ無いわ...ガチ変態な。」とぶつける。
そんなさとりの半ギレに、ルカは一瞬でイキ顔を晒してしまうのだ! 実は、ルカは小学校時代から、さとりの男っぽさにハアハアし続けていたというのである。
「昔の菅田さんズ○ネタにしてたし耐性あるって思ってたけど......リアル菅田さんスゴくて......ッ もう既に友達でいれる自信ナイんだけど」
「私が好きなのは心にチンとタマを持つようなクールビューティー菅田さんなの!!」
......ケツに固いモノまで押しつけられちゃって、さとりが「シリアスに悩んできた日々を返せ」とガチギレするのも当然である。
ともあれ、ある時は女子にモテモテのカワイイ系男子・晃として、ある時は美少女・ルカとして過ごす2人が同一人物だという秘密を共有し、高校生活を過ごすことになった、さとり。
ところが、この高校は恐るべき変態の巣窟だったのだ。最初に登場するのは、金髪眼鏡の秀才風金髪少女ケイトこと長谷部キャサリン。
彼女は、人の変態性欲が数値化して見えるという特殊能力の持ち主。しかし、学園の中で見えるのは「普通のホモやレズ」とか「おっぱい星人」程度。そんな彼女が探しているのは「ホンモノの黄金比」。「ホンモノの黄金比」とは、普段はケンカばかりしている男女が、実は夜はメチャクチャセックスしていて仲むつまじいというアレだそうだ。晃がバイのドMであることを見抜いたケイト。さとりがルカに「私に変態といわれるのが嬉しいんだろ、これからは容赦なくいってやるよ」と言い放ち、ルカ(晃)がイキ顔を晒している様に「ホンモノの黄金比」を見いだし、2ページ見開きで歓喜する。
本作はここまでに3話を消費しているが、さらに、女の子のつむじが気になってしかたないフェティシズム溢れるイケメン・藤堂先輩など、物語を追うごとにレベルの高い変態が次々と登場してくる。女装少年が変態と罵られてハアハアしているシーンだけで、ご飯が3杯は食べられる筆者が読んでも、この登場キャラはとことん濃すぎます。
しかし、リアルで羨ましいのは、ケイトの能力。この能力あれば、筆者もプレイパートナーを見つけられそうじゃない?
(文/ビーラー・ホラ)