中国メディアの新京報によると、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立にかかわってきた中国政府・国家発展改革委員会対外研究所の張建平主任は、中国だけが同銀行の重要案件の決定で「拒否権」を持つことになった経緯を説明。日米が加入していたら状況は違っていたなどの考えを示した。
AIIBは出資比率により案件決定の際の投票権が決まる。中国の投票権は現状で26.06%だ。重要案件については75%以上の賛成で可決となるルールで、中国は事実上の「拒否権」を持つことになった。また、中国以外に「1国による拒否権」を持つ参加国はないことになる。
新京報は、「中国は拒否権を持っているので、AIIBの決定を独占すると懸念している国がある」と指摘。張主任は同懸念に対して「中国は拒否権を獲得するために策を弄したわけではない」と説明。
さらに参加国が増えれば、現状の参加国の投票権は「希釈される」と説明。「小国が加入しても影響は何もないが、日本や米国が加入すれば(GDPが大きいので)出資額が大きくなり、影響が出る」と述べた。
張主任は中国の「拒否権」について「乱発することはない。中国はAIIB設立という機会を大切にしている。中国はAIIBを意思決定が民主的な機構にしていく。協議による管理を進める」と述べた。
張主任は日米の不参加について過去にさかのぼって言及したわけではないが、中国の“拒否権獲得”は「策を弄したわけでない」と説明した上で、「日米が参加すれば」と論じたので、事実上は「日米が参加していれば状況は違ったものになった」との見方を示したことになる。
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◆解説◆
投票権については12%を「基本投票権」として参加国全体に等分する。残りは出資金にもとづいて比例配分する。中国の投票権は26.06%になった。(編集担当:如月隼人)(写真は29日に北京市内で行われたAIIBの設立協定の署名式。CNSPHOTO提供)