【ワシントン、サンパウロ時事】オバマ米大統領は1日午前(日本時間2日未明)、ホワイトハウスで声明を読み上げ、国交回復と大使館の相互設置でキューバと合意したと正式発表した。1961年に国交を断絶した両国関係は、54年を経て「冷戦の遺物」を解消する歴史的な転換点を迎えた。
オバマ大統領は「歴史的な一歩だ」と強調し、ケリー国務長官が今夏にキューバの首都ハバナを訪れ、米大使館で国旗掲揚を行うと明らかにした。また、キューバとの関与を深めて「協力の道を見つける」と表明した。キューバ外務省によれば、ロドリゲス外相が大使館開設に合わせワシントンを訪問する。
これに先立ち米国とキューバの当局者は1日、オバマ大統領とキューバのカストロ国家評議会議長による親書を交換した。キューバ外務省の発表によれば、親書には双方の大使館を20日に再開することが盛り込まれている。
両国政府は2013年春から秘密交渉を開始。フランシスコ・ローマ法王の仲介などを受け、オバマ大統領とカストロ議長は14年12月、国交正常化交渉の開始を発表した。
双方が1月からワシントンとハバナで交互に高官協議を重ねる中、オバマ、カストロ両氏は4月にパナマで59年ぶりの首脳会談を実現させた。オバマ政権が5月、キューバに対する82年のテロ支援国指定を正式解除したことで、国交回復は時間の問題とみられていた。
オバマ大統領は対キューバ経済制裁の一部を段階的に緩和しているものの、全面解除には議会の承認が必要になる。オバマ氏は「議会は制裁を解除する時だ。(キューバで)われわれの利益を高め、民主主義などを広げるためには、関与が最善の方策だ」と訴えた。