自民党の若手議員による勉強会「文化芸術懇話会」で、作家の百田尚樹氏が「沖縄の2つの新聞はつぶさないといけない」などと発言した問題で、抗議声明を共同発表している沖縄タイムスと琉球新報の両編集局長が7月2日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。
沖縄タイムスの武富和彦編集局長は会見冒頭、百田氏の発言について、「非常に憤りを感じている」「民主主義の根幹である『表現の自由』、『報道の自由』を否定する暴論だと受け止めている」と怒りを口にした。
また百田氏が勉強会で、米軍普天間飛行場の成り立ちについて、「もともと田んぼの中にあり、周りは何もなかった」という認識を示したことなどに触れて、武富氏は「事実誤認」と反論。「社会的影響力の大きな作家が事実関係も歴史的経緯も知らずに発言することは、慎んでほしい」と述べた。
武富氏は「一番の問題は、自民党議員が百田氏の発言を引き出したことだ」と指摘した。勉強会に出席した一部議員が「沖縄の世論がゆがんでいる」「正しい方向に持っていくにはどうしたらいいか」など発言したことに対して、「沖縄県民を非常に愚弄するものだ」と語気を強めた。
●「安倍首相が謝罪すべきだ」問題になっている自民党の勉強会は、先月25日に開かれた。このなかで、出席した議員から「マスコミを懲らしめるには広告料収入がなくなることが一番だ」という声があったとされる。琉球新報の潮平芳和編集局長は「政権の意にそぐわないメディアを兵糧攻めにするというのは、言論弾圧そのものだ」と訴えた。
外国メディアの記者から「安倍首相は謝罪すべか」と問われると、潮平氏は「謝罪すべきだ」とキッパリ。「誰がどう見ても、自民党議員が問題発言をしたので、もし問題だという意識があるのなら、議員を諌めるのが責任のある態度だ」と述べた。
●「圧力をかけるような動きは一切ない」また「広告を降りる動きを心配しているのか」という質問もあった。武富氏は「少なくとも沖縄県内の企業からは、スポンサーを降りるなどの圧力をかけるような動きは一切ない」と述べた。
武富氏はこの日、沖縄有数の企業の社長と空港で一緒になったというエピソードを紹介。その際、「がんばれ」「つぶされるんじゃないぞ」と激励の言葉を受けたという。また今回の騒動を受けて、会社にかかってくる電話が増えたとして、「批判的な声もあるが、むしろ『応援する』という声が増えた。百田さんや一部の国会議員の思惑とは反対方向に動いているのではないか」と語っていた。
(弁護士ドットコムニュース)