『進撃の巨人』や『バクマン。』など、人気コミックが相次いで実写化される。先日公開された『海街diary』や、豪華キャスト陣が話題を呼び、公開を控える『ピース オブ ケイク』なども漫画が原作の実写化作品である。
原作ファンを抱える人気コミックの実写化は、話題性だけが先行しファンをがっかりさせてしまうことも少なくない。とはいえ「実写化=残念」という作品ばかりではなく、実写化が人気を博し原作が再評価されることもある。
そこで今回は、20~40代の男性100人を対象に「過去に映画やドラマとして実写化されて満足だったアニメ・漫画」とその理由に関するアンケートを実施。上位は全体的に票が散らばる結果となった。そのランキングは以下の通り。
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1位:釣りバカ日誌……12人
1位:テルマエ・ロマエ……12人
3位:のだめカンタービレ……11人
12位:美味しんぼ……6人
※20~40代男性100名が回答(複数回答可)
同率で1位となったのは『釣りバカ日誌』と『テルマエ・ロマエ』だった。上位にランクインした作品に共通する意見では、主演の俳優陣が「原作のイメージに近い」もしくは、それ以上に魅力のある演技で好評を博した。「この人しかいない」という“ハマり役”の存在が、評価のカギを握ったのではないだろうか。
1位の『釣りバカ日誌』は、1979年から現在まで小学館『ビッグコミックオリジナル』で連載されている長寿コミック。映画は’88年から22年間にわたってほぼ毎年1本の新作が公開され、西田敏行演じるハマちゃんと三國連太郎が演じるスーさんとのやりとりが“ハマり役”として長く愛されてきたことがわかる。
「西田敏行さんと三国連太郎さんの息がぴったりで良かったです」(神奈川県、45歳)、「原作の良さを引き出しているから」(広島県、32歳)、「漫画を読まずに先に映画だったからよかったのかも」(山形県、34歳)、「見ていて納得できる内容だった」(大阪府、44歳)、「アニメのイメージ通り」(北海道、49歳)、「おもしろさが倍増してるので」(埼玉県、46歳)、「西田と三国のコンビはよかった」(愛知県、46歳)など、30・40代を中心に支持を集めた。
ヤマザキマリ原作の漫画『テルマエ・ロマエ』も、阿部寛や北村一輝といった顔の濃い“ハマり役”の存在があったからこそ高評価に繋がったのだろう。「キャストが合いすぎ」(山梨県、37歳)、「主役のあべひろしが濃い顔でぴったり」(埼玉県、44歳)、「原作以上のできだった」(福岡県、33歳)、「漫画に思い入れがなかったから」(埼玉県、47歳)、「個性が表現できている」(東京都、48歳)など、漫画に思い入れがないから純粋に楽しめたという声もあった。
続いて3位となった『のだめカンタービレ』は、こちらも上野樹里の独特のキャラが“ハマり役”で、彼女の名を知らしめた出世作とも言える作品だ。「漫画の世界観をうまく掴めている」(兵庫県、48歳)、「面白かった」(東京都、34歳)、「原作を生かしつつ、実写ならではの要素がよかった」(北海道、43歳)、「漫画とは違った面白さがあった」(山形県、36歳)、「配役が良い」(千葉県、42歳)など、実写ならではの魅力があることも人気に繋がったようだ。
4位以降は、いくつかの作品が同票を集める結果に。仲間由紀恵の出世作となった『ごくせん』には、「イメージぴったり」(神奈川県、45歳)、「キャストが良かったり、演出できる範囲の漫画は良かった」(大阪府、34歳)「いい感じに実写化できていて残念な感じせずに楽しく見れた」(愛知県、41歳)、「実写は別物として楽しめた」(神奈川県、46歳)との声が寄せられた。
ここからはコメントを駆け足で紹介していこう。『20世紀少年』には、「配役が適当だった」(愛知県、24歳)、「原作の世界観を上手く映像化していたから」(千葉県、40歳)、「最終章は納得できなかったが、第一章と第二章は面白かった。漫画の中のキャラに似た役者を多数配役できた(多くは役者の役作りの賜物だろうが)のも高評価。全く違和感なく鑑賞できた」(福島県、45歳)、「迫力があった」(千葉県、37歳)などの感想が集まった。
『ナニワ金融道』には、「現実的な内容の話なので実写化でも違和感がない」(岐阜県、45歳)、「借金大王のテーマソングが良かった」(東京都、43歳)、さらに『るろうに剣心』には、「原作をうまく再現」(大阪府、29歳)、「リアルな動きがとてもよかった」(千葉県、49歳)との声が寄せられた。
その一方で「満足だったものはない」(神奈川県、40歳)、「とくに思いつきません」(東京都、44歳)「アニメ・漫画は実写化する必要ない」(神奈川県、42歳)など、実写化に対して否定的な声も多く寄せられていた。
音楽や釣り、極道といった現実世界を描いたストーリーが軸の作品は、実写化されても違和感なく受け入れられたのだろう。もちろんそれは、監督や俳優を含むスタッフ全員による努力の賜物だ。これからも、あっと驚かせてくれるような実写化作品が生まれることを楽しみにしたい。
【調査概要】
<取材・文/北村篤裕>