月給の1割で1時間しかネット接続できないキューバ…改善の兆しは?

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給料の1割を削っても、ネット接続できるのは1時間だけ……。

世界でも有数のインターネット規制検閲が実施されている国といえば? きっと中国や北朝鮮のことを、まず頭に思い浮かべる人は多いはずですよね。でも、こうした国々を抜いて、世界でもトップクラスのガードで、国民のインターネット利用を規制している国がありますよ。

キューバにおけるインターネット接続サービスを牛耳っている国営通信企業のEtecsaは、これまで一部の限られた富裕層を対象にしかネットアクセスを提供してきませんでした。というのも、一般的なキューバ国民の給料の約1週間分に相当する接続料金で、ようやくWi-Fiホットスポットへ1時間だけアクセスできる高額のサービスが、ほぼ唯一のワイヤレスネットプランだったからです。いくらなんでも、それは高すぎでしょう?

キューバ政府の基本的な政策は「インターネットをだれにも利用させない」という方針で成り立ってきました。しかしながら、ついにその姿勢にも変化が訪れます。現在は「これからはインターネットアクセス料金を値下げして、利用者層を拡大する。ただし、今後も政府の管理のもとで、その指導プロセスに則って行なわれることに変わりはない」という方針へと改善しました。

キューバのインターネット事情に詳しい、ニューヨーク市立大学(CUNY)バルーク校(Baruch College)のTed Hencken教授は、米ニューヨークタイムズ紙(New York Times)にそう語っています。実は今年に入ってから、一連の米国との国交正常化交渉で注目を集めてきたキューバでは、ほんの少しですが、インターネット利用の垣根が低くなったとも伝えられています。

例えば、前述のEtecsaが国内で独占的に提供してきたWi-Fiホットスポットサービスは、1時間あたりの接続料金を、これまでの4ドルから2ドルへ、半額に値下げすると発表。また、公園をはじめとする公共のエリアに、より多くのアクセスポイントを新たに設置していく方針まで明らかにしていますね。

ちなみにキューバ国民の現在の一般的な月収は20ドル前後。もしも単純に日本で20万円の給料を毎月もらって生活しているとしましょう。そのうち2万円をはたいて、ようやっと1時間だけスマートフォンやタブレットからインターネットに接続できるようになったというのが、改善された後のキューバのネット事情というわけです。まだまだ決して安くはないですよね。

とはいえ、改善の兆しがみられることを歓迎する向きもあるようです。ほんの数年前までは、首都ハバナにインターネットカフェが1店あったのみ。それが、お金さえ払えば、とにかく自由にネット接続できる環境から整いはじめたことを意味しているのですからね。いまキューバの若者のあいだでは、メモリカードへインターネットからダウンロードした各種コンテンツを入れ、それを仲間内でオフライン共有して間接的にネット利用するスタイルが流行しているんだとか。

キューバのネット事情を考察すると、厳しい検閲をかける中国なんかよりも、要はネットアクセスするためのインフラを整えず、超高額の利用料金を課しておくほうが、ほとんどの国民をインターネットから切り離せるという皮肉な現実も浮き彫りになってきます。当たり前のようにネットが使える国に暮らしていてよかったなと、つくづく考えさせられる一面でもあるでしょうかね~。


source: New York Times

Adam Clark Estes - Gizmodo US[原文
(湯木進悟)

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