トルコ・イスタンブールのトプカプ宮殿(トプカピ宮殿)近くで4日、中国当局がイスラム教の宗教活動であるラマダンを弾圧したとして、抗議デモが発生した。デモ隊の一部が暴徒化し、居合わせた韓国人観光客を襲撃するなどした。環球網などが報じた。
デモ隊は宗教上のスローガンを叫びながら、中国当局を激しく非難。トプカプ宮殿近くに集まっていた韓国人の旅行者を見つけると、中国人と誤認して襲いかかった。韓国人旅行客はパニック状態になり「私は韓国人だ。中国人じゃない」などと叫ぶ人もいたという。
詳しくは伝えられていないが、「韓国人だ」との叫び声を聞いても、デモ隊の攻撃はおさまらなかった模様。最終的に警官隊が催涙弾を発射するなどで攻撃を鈍らせ、韓国人観光客を救出したという。
米国系ラジオ局の自由アジア放送によると、トルコ政府は6月30日、駐トルコ中国大使館に対し、中国当局がイスラム教のウイグル族に対して、ラマダンの活動を禁じているとして、同国の関心と憂慮を伝えた。
一方、環球網は「新疆ウイグル自治区当局はラマダン開始前に会議を行い、普通の信者が昼間の絶食、礼拝活動、夜間の飲食を行うなどの宗教活動に(当局が)干渉してはならないようしっかりと伝達した」、「外交部(外務省)はラマダン期間中に海外にいる中国人に対して、現地の習慣を尊重するように通達した」として、問題が発生したのは中国の少数民族政策に対する西側メディアの歪曲した報道が原因と主張した。
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◆解説◆
イスラム教では、ラマダン中の昼間断食について、「神を畏れ敬う気持ちを起こすため」としている。また、イスラム教はさまざまな宗教の中で、信者間の連帯心がとりわけ強いとされる。貧しい者への施しも強く奨励されている。ラマダン期の断食については、「食べ物もろくに得られない貧しい者の状況を体感し、思いやりの心を強める効果がある」と説明される場合もある。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:123RF.COM。ボスポラス海峡から見たイスタンブール)