99u:大学を出て最初に入った会社の新人教育で、タイムマネジメント研修を受けました。義務として参加した研修でしたが、与えられた予定表を言われたとおりに使ってみました。でも、何週間使ってみても、一向に生産性は上がりません。社内を見まわすと、私と同じように苦しんでいる同期が多いように見えました。
いま思えば、理由は単純。誰にでも効果的な唯一無二の生産性アプローチなんてものは存在しないのです。それよりも、それぞれのスタイルに合わせた働き方と、強みや嗜好に合わせた仕事の割り振りが重要なのです。
皮肉にも、多くの人はこれを無意識のうちに行っています。情報を認識・処理・管理するパターンは習慣に基づき、行動となって表れます。それなのに、私たちは「承認済み」(コンサルタント、学者、実践者などがすすめる)のプログラムやヒント、ツールなどを盲信してしまうため、自分の性質とは違う方向に向かってしまうことが多々あるのです。生産性を向上するために必要な最初の一歩は、自身の生産性スタイルを認識すること。そうすることで、生まれもった性質に合わせて働けるようになるでしょう。人それぞれに強みがあり、最適なツールも異なります。以下に、4つの生産性スタイルと、それぞれに合ったツールを紹介します。
プライオリタイザーは、常に論理的、分析的、批判的、現実的で事実に基づく思考に従います。効率を上げるために、タスクにかかる時間を正確に測り、1日の計画および1週間の計画を正確に立てようとします。どんな目標でも好き嫌いなく対応し、目標達成のためにはレーザーのような集中力を発揮します。
とにかく実行することに力を注ぐので、達成手段にはあまり時間やエネルギーをかけようとしません。ときおり支配的で頑固なことがありますが、職場では意欲と競争力に定評があります。雑談やデータ欠損、プライベートへの過剰な介入は嫌い。メールはほんの数行で済ませることが多く、ときには数文字ということもあります。
プランナーは、入念に準備・計画・順序付けされた詳細な思考を好みます。ぱっと見ではプライオリタイザーに見えるかもしれませんが、プライオリタイザーはプロジェクトを早く正確に終わらせる部分にしか関心を持たないのに対し、プランナーはプロジェクトのあらゆる細部にこだわります。
あまり自発性がなく、計画にこだわりすぎて機会を逃してしまいます。ToDoリストに横線を引く感覚が好きなので、すでに完了したタスクでも、わざわざリストに書き込みます。スケジュールとやるべきことにこだわり、タイムリーなフォローもばっちりです。話し相手には、ポイントをしぼって話すことを望みます。詳細に関する説明は、あとで自分で読むのが好きなのです。アジェンダのはっきりしない会議への参加は嫌いです。メールは詳細におよび、箇条書きで次のアクションを明記することが多いでしょう。
アレンジャーは、支持的、感情的かつ表現力豊かな思考を好みます。究極のチームプレイヤーであり、同僚と一緒に仕事をこなすのに長けています。自然なコミュニケーションがうまく、プロジェクトミーティングを巧みに活性化、サポートします。人間味がない人や、データあるいは事実に依存しすぎることを嫌います。会話好きなので、ストーリー、アイコンタクト、他者への気遣い、プロジェクトやタスクが誰かの役に立っているかを聞くことが好きです。勤務時間中の雑談に時間制限を設けたり、メールのCCに人を入れたがるのを止めさせる必要があります。
ビジュアライザーは、全体的、直感的、総合的、統合的な思考を好みます。プレッシャーに強く、複数の多様なプロジェクトをこなしていないと、すぐに退屈してしまいます。大局的なコンセプトを作ることに注力しますが、ときに細部を見過ごしたり、プロセスの中の可能性を重視したりします。自発性と衝動性に富み、革新的なアイデアをもたらすこともあれば、プロジェクト計画を脱線させることもあります。目に見えるものしか考えられないため、デスクの上は散らかりっぱなし。メールは長く、コンセプトやアイデアであふれています。
以上、タイプ別に最適なツールを紹介しました。複数のタイプに該当する人もいるかもしれません。その場合、いろいろ試してみて、最後まで残ったものがあなたに向いているものでしょう。
生産性は人それぞれです。自分の個性や直感に合致した生産性スタイルを見つけることができれば、スマートな働き方が可能になります。そこから、充実した人生が始まるのです。
The 4 Types of Productivity Styles | 99u
Carson Tate(訳:堀込泰三)
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