愛知県豊田市の民家で5月、世帯主の男が妻ら3人を絞殺して放火したとされる事件で、妻松井あや子さん=当時(65)=が約10年前から「長女は就職した」と夫を偽っていたことが6日、捜査関係者への取材で分かった。あや子さんは長女=同(37)=の就職あっせん名目で知人の女に現金を繰り返しだまし取られていたとされる。県警は、夫にうそをついた手前、就職させるために送金を続けた可能性があるとみている。
捜査関係者によると、あや子さんは2005年ごろから、夫の芳治容疑者(65)に「長女は県内の金融機関に就職した」と説明。長女は当時、実家を出て暮らしており、同容疑者はうそに気付かなかった。
県警の調べでは、あや子さんは知人の水野照代容疑者(66)=詐欺容疑で逮捕=から就職先をあっせんすると持ち掛けられ、00年9月以降に総額約8600万円を送金していた。
芳治容疑者は今年3月、家族の口座の残高がほとんどないことから、一連の送金を把握。水野容疑者に説明を求め、警察署にも相談していた。
県警は6月30日、約7万円を振り込ませた容疑で水野容疑者を逮捕。「事実と全く違う」と否認しているという。逮捕前の取材には「貸した金を返してもらっていた」と説明していた。