「草食化」「恋愛離れ」など、若者男性の恋愛忌避傾向が話題になって久しい。内閣府が発表した調査によると、結婚適齢期の人たちのうち、およそ4割の人が「恋人が欲しくない」と答えたとのこと。さらに、あるサイトで恋人のいない20~30代の男性200人にアンケート調査を行ったところ、過半数が「彼女を作るのは無理」と回答したという。
「教えて!gooウォッチ」でも「『彼女諦め男子』が増えている理由とは」を掲載した。そこで挙げられていた、彼女を諦める理由は以下の通りであった。
■彼女を作ることを諦める理由とは
・「経済的なものが大半でしょうか」(nankaiporksさん)
女性との交際には、お金がかかることは事実だ。また20代や30代での交際は、その先にある結婚を意識せざるを得ない。勤務先や収入に自信がない場合は、恋愛するのをためらうこともあるのかもしれない。
■彼女諦め男子増加の心理的要因は
専門家は彼女諦め男子が増える理由を、どう考えているのだろうか。心理学者の内藤誼人先生は「『学習性無気力』が原因かもしれません」と推測している。
「有名な実験を紹介します。犬の入ったケージの床を右と左に分割し、ライトを点灯させたあと片方の床で電気ショックを起こすことを繰り返します。すると犬は、点灯を確認すると電気の流れない方の床に移動するようになります」(内藤先生)
これは犬が「ライトが点灯すると、電気ショックを受ける」と学習するから。
「次に、ライトを点灯させたあと床全体に電気を流すようにします。犬は最初、点灯すると床を移動したのですが、次第に隣の床でも電気ショックを受けることがわかると、ライトがついてもなにもしなくなります。これが、学習性無気力です」(内藤先生)
犬は「自分がなにをしてもどうせ嫌な思いをする」と学習してしまったのだ。内藤先生によると、彼女諦め男子の心理はこの犬とほぼ同じとのこと。
「彼らも、生まれつき諦めていたわけではないでしょう。何度か自分から動こうとして、そのたびに失敗や挫折に直面し、無気力になってしまったのでは。また人間には、理由づけをすることで自分を正当化するよくない傾向があります。経済面やステータスの問題を理由にあげて、『だから、自分は彼女を作れるはずがない』と思いこんでしまうのですね」(内藤先生)
こうした状態を脱する方法はないのだろうか。
■脱学習性無気力の鍵は成功経験
「一度でもいいから、成功経験をするしかありません。たまたまやさしくしてくれる女性に会うとか、たまたま好きになってくれる女性に会うとか。女性に声をかけてもらうだけでも、充分な成功経験になると思います」(内藤先生)
一昔前なら上司が女性のいるお店へ飲みに連れて行ってくれて、成功体験をさせてくれることもあっただろう。だが現代はそんなコミュニケーションも廃れつつある。“無気力”さの中の気力をふりしぼって、成功体験を積む努力をするしかないのかもしれない。
●専門家プロフィール:内藤 誼人(ないとう よしひと)
教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)