トヨタ自動車の元常務役員ジュリー・ハンプ容疑者(55)が麻薬取締法違反(輸入)容疑で逮捕された事件で、東京地検が同容疑者を不起訴(起訴猶予)処分とする方針を固めたことが7日、関係者への取材で分かった。勾留期限の8日に釈放する。
地検は、ハンプ容疑者が密輸した錠剤を痛み止めとして米国の父親から送ってもらっていたことなどから悪質性が低いと判断。トヨタの役員を辞任したことも考慮したとみられる。
ハンプ容疑者は6月11日、米国ケンタッキー州の空港から国際宅配便で、麻薬である「オキシコドン」の成分を含む錠剤57錠を密輸したとして、同18日に警視庁に逮捕された。宅配便は「ネックレス」と申告され、中からはネックレスのほか、底に敷き詰められるなどした錠剤が見つかった。
関係者によると、ハンプ容疑者は錠剤を膝の関節痛の痛み止めとして使用しており、「規制されている薬物との認識はあったが、ドラッグや麻薬という認識はなかった」と容疑を否認。地検などの調べに対し、「父親が処方されていたものを送ってもらった」と話しているという。
父親も弁護士を通して供述書を提出し、「自分が処方された錠剤を送った。ネックレスは娘のために買ってあげるのが趣味だった」と説明している。