7月から公道での走行がOKに。「セグウェイ」の魅力とは? | ニコニコニュース

画像提供:セグウェイジャパン
SUUMOジャーナル

電動立ち乗り二輪車、セグウェイを使ったシティガイドツアーが、茨城県つくば市に続き、もう間もなく東京・二子玉川駅周辺で始まる。世界で約10万台売れているというセグウェイだが、公道での走行がOKになったことにより(※警察からの許可が出た場合のみ)日本の暮らしをどう変えるのだろうか。セグウェイジャパンの取締役である秋元さんに伺った。
日本でも広がっていきそうな、セグウェイを利用したシティガイドツアー

振り返って見れば、セグウェイがもっとも注目を集めたのは、それが一体どんなものかまだ誰にも知られていなかったころだろう。その実物をいち早く見せてもらったスティーブ・ジョブス(元アップルCEO)やジェフ・べゾス(アマゾンCEO)といったIT界の著名人が「世紀の大発明」と絶賛したからだ。しかし2001年12月の発表以降、セグウェイは次第に人々から忘れられていく。

電動の立ち乗り二輪車であるセグウェイ。アクセルやブレーキ操作なしに、重心移動によってその動きを制御する。速度は0〜20km/hと、自転車よりも遅く、1回の充電で走行可能な距離は約39kmだから、バイクよりも行動範囲が狭い。発明したディーン・ケーメンは一時郵便配達に使うことを考えたが、もちろん失敗した。

それから約10年後の2011年。日本では茨城県つくば市においてセグウェイを使った街めぐりツアーが始まり、現在でも申し込みが殺到している。そして今度は東急電鉄が2015年9月ころまでに、東京都の二子玉川駅周辺でシティガイドツアーを開始する予定だ。つくば市は自治体が中心となって行われる構造改革特区を利用しているが、東急電鉄の場合は民間企業が受ける規制緩和としては全国初の事例となる。

【画像1】つくば市の街めぐりツアー。参加者はカメラを向けると自然と笑顔やバンザイをしてくれるそう(画像提供:セグウェイジャパン)

世界1000カ所以上の街でセグウェイが人気に

実は今、セグウェイは世界1000カ所以上の街で活躍している。郵便物の配達でも、自転車やバイクの代わりでもなく、街を巡るシティガイドツアーの移動用として。ベルリン、サンフランシスコ、プラハ、バルセロナ、コペンハーゲン、パリ、ロンドン……。海外旅行者のクチコミサイト「トリップアドバイザー」ではセグウェイツアーの特集が人気になっているほどだ。

「乗った人は分かると思いますが、これは周囲を知覚しながら1センチ単位で移動することに大変向いています」とセグウェイジャパン取締役の秋元さんは言う。

人間は大変よくできた生物で、進もうとする方向へ体が自然と動こうとする。車でも、ハンドルでコーナーを曲がろうと意識するよりも、コーナーの内側の白線を目で追うだけのほうがスムーズに曲がれる。もちろん、車とは比べものにならないほど、セグウェイのほうが微量な体の動きを捉え、人間をその方向へと導いてくれる。「体の機能を拡張するハードウェア」という秋元さんの言葉が最も適切だろう。

【画像2】世界1000カ所以上でシティガイドツアーが行われている。写真はオランダのアムステルダム(画像提供:セグウェイジャパン)

セグウェイは街に笑顔をもたらしてくれる

目に付くがまま、思うがまま散歩をするのは楽しい。しかもセグウェイなら散歩と違ってまったく疲れない。だから20kmは”散歩”できる。

そうした、到着時間を気にせず思う存分散歩できる気持ちの余裕や、肉体的なゆとりが「行き交う人と自然と挨拶をしたり、笑顔になったり、手を振ったりという行動につながっているようです」(秋山さん)

またセグウェイを見かけた人のほうも、物珍しさも手伝って気軽に声をかける、手を振るという。その光景を見たことのない人にとっては、にわかに信じがたいだろうが「これまでつくば市の特区内の、歩道や車道で2万km以上実験した結果、誰もが笑顔で言葉を交わしたり、挨拶したりすることが分かりました」。

人々が笑顔で挨拶を交わす街なら、多くの人が行きたい、住みたいと思うはず。また街をガイドする人材を育成できるというメリットもある。

セグウェイで笑顔があふれる点にはアメリカの警察も注目していた。「普段は怖そうな警官でも、セグウェイでパトロールするとスマイルになるから、街の人々にとってもコミュニケーションが取りやすい」という理由で導入している。確かに警官と住民がコミュニケーションをとる街は、必然と犯罪も少なくなる。

「結果的に、世紀の大発明とはモビリティではなくインターフェイスの発明でした」と秋元さん。セグウェイというハードウェアだけで、笑顔があふれる街がつくれるなら、それは確かに「世紀の大発明」とジョブスたちが絶賛するに値するだろう。

【画像3】つくば市の街めぐりツアーの一コマ。参加者は自然と行き交う人々に手を振ったり、言葉を交わしたりする(画像提供:セグウェイジャパン)