Intelの次世代CPUとなる第6世代Coreプロセッサ(開発コードネーム:Skylake、スカイレイク)の発表日程が明らかになってきた。Intelに近い情報筋によれば、Skylakeの発表は2段階で計画されており、第1段階としてドイツ時間の8月7日にデスクトップ向けのSKU(Skylake-S)の一部が発表され、残りのSKU(Skylake-S/H/U/Y)は9月上旬からドイツで開催される展示会「IFA 2015」に近いタイミングで発表される予定になっているという。
7月29日にはWindows 10の正式リリースも予定されており、8月〜9月にかけて発表されていくSkylakeを始めとする部材側の準備が整うことで、IFAを皮切りに続々とWindows 10/Skylake搭載PCが発表され、市場が大いに盛り上がっていくことになりそうだ。
Intelに近い情報筋によれば、Intelは8月7日にドイツのケルンで行なわれる「Gamescom 2015」と併催されるPCゲーマー向けイベント「Intel Extreme Masters Cologne」において、Skylake-Sの開発コードネームで知られる、デスクトップ版Skylakeを発表する。この時点で発表されるのは、プロセッサナンバーの末尾に“K”
が付くアンロック版Core i7-6700K(4コア、4GHz)、Core i5-6500K(4コア、3.5GHz)の2製品。これらの製品は、チャネル向けの市場で販売され、CPU単体ないしはBTOのデスクトップPCなどに組み込まれて販売されることになる。
その後、9月の上旬にドイツのベルリンで行なわれるデジタル系の展示会IFAに合わせる形で、残りの製品となるSkylake-H(ノートPC向け)、Skylake-U(薄型ノートPC、2-in-1デバイス向け)、Skylake-Y(2-in-1デバイス、タブレット向け)と、Skylake-Sのロック版が発表される。通常、OEMメーカーは、年末商戦に向けた新製品をIFAで発表することが多く、Intelもそれに合わせて新CPUをIFAで発表しているが、今年もそうなる見込みだ。
1月にようやく第5世代Coreプロセッサ(Broadwell)が発表されたばかりだが、こうしたスケジュールになってしまったのは、第5世代Coreプロセッサが歩留まりが上がらずに出荷延期を繰り返してしまったためだ(そのあたりの事情に関しては以前の記事で紹介した)。元々、第5世代Coreプロセッサは2014年第1四半期には出荷されるスケジュールで動いていたのだが、それが第3四半期になり、ついには2015年までずれ込んでしまった。そのため、その後継製品となるSkylakeとの間隔が短くなってしまったのだ。
さて、ここまでほとんど説明なしにSkylake-S、Skylake-H、Skylake-U、Skylake-Yのような区分表記を使ってきたが、その説明は下表の通りとなる。
形状 | TDP | 説明 | |
---|---|---|---|
Skylake-S | LGA1151 | 95〜35W | デスクトップのLGAソケット向け |
Skylake-H | BGA | 95〜45W | モバイルワークステーションやノートPC向け |
Skylake-U | BGA | 25-15W | 薄型ノートPC/2-in-1向け |
Skylake-Y | BGA | 4.5W | タブレット/2-in-1向け |
一言で言うと、デスクトップ向けにはLGAソケット版のSkylake-S(SはSocketのS)があり、モバイル向けにはのSkylake-H、Skylake-U、Skylake-Yという3つのコードネームで示される製品が存在するということになる。
さて、ここでちょっとややこしいのが、基本的にコードネーム末尾の接尾語は、概ねそのまま“Uプロセッサ”や“Yプロセッサ”というように、“製品ブランド”の頭文字にも用いられており、第5世代Coreプロセッサの場合、下記の図のようになる。
だが、Skylakeの一部では、コードネーム末尾の接尾語とは違う頭文字が用いられる。モバイル向けは、製品の開発コードネームがそのまま製品名のアルファベットになっているが、デスクトップ向けのSkylake-Sは、“Sプロセッサ”以外に、アンロック可能な“Kプロセッサ”と、省スペース向けの“Rプロセッサ”にまで細分化がされているのだ。表にすると下記のようになる。
カテゴリ | 説明 | Skylakeでのコードネーム | |
---|---|---|---|
X | デスクトップ | エンスージアスト向け、アンロック、LGA2011ソケット製品 | Skylake-E(?) |
K | エンスージアスト向け、アンロック、LGA115xソケット製品 | SkylakeーS | |
C | コンシューマ向け、アンロック、LGA115xソケット製品 | - | |
R | コンシューマ向け、ロック、省スペースデスクトップ向け | SkylakeーS | |
S | コンシューマ向け、ロック、LGA115xソケット製品 | SkylakeーS | |
H | モバイル | モバイルワークステーション、ビジネスノート向け | SkylakeーH |
M | モバイルワークステーション、ビジネスノート向け(Haswell世代まで) | - | |
U | 薄型ノートPC/2-in-1デバイス向け | Skylake-U | |
Y | 2-in-1デバイス/タブレット向け | Skylake-Y |
もう1つSkylakeでの変更点として、“Cプロセッサ”の廃止がある。Broadwell世代では、LGAソケットの製品はスキップされる予定だったのだが、2014年の初めの段階で、急遽アンロック版のBroadwell-KのみをLGA版として投入することに決めた。
だが、その製品名はKプロセッサではなく、Cプロセッサになった。これは、前世代最上位のCore i7-4790K(4コア、4GHz)に比べて、新世代最上位のCore i7-5575C(4コア、3.3GHz)の方がクロック周波数が低く、CPU性能だけを見ると、下がってしまうこと考慮し(GPUはCore i7-5575Cの方が上)、位置付けの上下関係を分かりやすくするため、KからCへと変更されたのだ(ちなみにCはConsumerのCだそうだ)。
こういった急場をしのぐ例外的対策として、BroadwellにはCプロセッサが追加され、それがまたSkylakeではなくなったということだ。
ちなみに、さらに厳密な話をすると、同じBroadwell-Uというコードネームのものでも、デュアルコア+GT2とデュアルコア+GT3という2つの異なるダイのものがあったりする。
Skylakeの発表スケジュールがほぼ固まったことで、今後のPCメーカーの製品発表スケジュールもだいたい見えてきた。7月29日にWindows 10の正式リリース、8月〜9月にSkylakeの発表、そして9月〜10月にかけてOEMメーカーの搭載製品の発表を経て、年末商戦へと向かう。
Windows 10は、7月29日の時点で即座にアップグレード版が提供されるが、現時点の情報では、およそその2週間前ほどにRTMが完成しOEMメーカーに提供される見通しだという。それを元に出荷イメージを完成させたメーカーから製品の出荷が順次開始される。これまでであれば、RTMから正式発表までには数カ月の時間があったが、今回は2週間程度なので、それに対応できる大手PCメーカーはほとんどないと考えられる。
なお、リテール版やDSP版など、店頭で販売されるWindows 10のパッケージ製品は、RTMからDVD作成などの時間が必要なので、7月29日には間に合わないものと推測される。
そもそも、元々のスケジュールではWindows 10は10月に発表される予定だった。それが3月にいきなり3カ月前倒しされた。OEMメーカーの製品計画は、出荷1年前には組まれており、部材(CPU、メモリ、ストレージ、ケースなど)の調達計画も年間スケジュールが決まっており、急に3カ月前倒しにしろと言われても、対応できるわけはないのだ。
そのためOEMメーカーは、元々のスケジュール通りに計画を進めており、9月上旬のIFAなどでWindows 10搭載PCを発表するか、国内メーカーであれば通常10月に予定されている秋モデルのリフレッシュサイクルに併せて発表する予定となっている。もし仮に、7月29日の時点で大手メーカーの新PCの発表があるとすれば、Microsoft自身の「Surfaceシリーズ」の後継製品ぐらいだろう(あれば、の話しだ)。ただ、小回りが効く中小のメーカーであれば、7月29日の正式リリースに間に合わせることも可能かもしれない。
現時点の情報ではCore i7-6700K、Core i5-6500Kの2製品は発表即発売となる予定という。そのため、BTOデスクトップPCを手がけるメーカーは、7月29日にWindows 10搭載モデルを発表し、8月7日には追加でSkylake-SベースのCore i7-6700K、Core i5-6500Kを搭載した機種を発売するという慌ただしいスケジュールになる。ただし、現時点では供給数は十分ではないという話しも聞こえてきているので、初動の段階では争奪戦になる可能性もありそうだ。