【アテネ時事】ギリシャ政府は8日、ユーロ圏の債務危機対策基金「欧州安定機構(ESM)」に対し、新たな金融支援を正式要請した。期間3年の融資枠設定を求めており、支援を受けるための改革案の詳細を9日までに欧州連合(EU)側に提出する。ギリシャの金融機関が資金不足に陥る中、EUが受け入れ可能な案を提出できるかが焦点。同国がユーロ圏に踏みとどまれるか、重大な局面を迎えた。
ギリシャのツァカロトス財務相は申請の中で、新たな支援で得る資金は債務支払いや銀行資本増強など金融システム安定のために充てると説明。提出する税制や年金関連などの改革案には、早ければ来週にも実行に移す措置も含まれるという。
ギリシャのチプラス首相は8日、欧州議会で演説し、「成長なくしてはギリシャは危機から脱却できない」と金融支援の必要性を訴えた。首相は、5日の国民投票で緊縮策の拒否が示されたことを引き合いに、「ギリシャ国民の民主的選択を尊重してほしい」と強調した。
EUは12日に首脳会議を開催し、最終的な対応を協議する。ユンケル欧州委員長は、EUが主張する財政緊縮策を含めた改革の受け入れをギリシャに求めるとともに、同国のユーロ圏離脱の可能性にも言及している。