【ワシントン時事】米上院軍事委員会は9日、米軍制服組トップである統合参謀本部議長に指名されたダンフォード海兵隊総司令官の人事を審議する公聴会を開いた。ダンフォード氏は米国に対する最大の安全保障上の脅威としてロシアを挙げ、これに中国が続くとの認識を表明。3番目に北朝鮮、その下に過激派組織「イスラム国」を位置付けた。
ダンフォード氏は中国を2番目に据えた理由について「拡大する軍事能力と太平洋地域でのプレゼンス」を挙げた。さらに「中国を敵と見なしているわけではないが、中国の能力と米国が太平洋に有する権益を比較して検討すれば、中国を安全保障面の懸念領域と考える必要がある」と述べた。
ダンフォード氏は、ロシアが欧州で軍事圧力を高めていることを踏まえ、「ロシアの振る舞いに目を向ければ、まさに憂慮すべきだ」と語った。
同氏はまた、委員会に提出した書面証言で、米国はロシア、中国、イラン、北朝鮮という「国家主体」による挑戦に直面している上、過激派組織との長期にわたる戦いに従事していると指摘。「中国の東シナ海、南シナ海での行動は同国の長期的な意図に疑念を抱かせる」と強調した。
中国をめぐってはさらに、南シナ海での岩礁埋め立てなどに言及し、その振る舞いは「不安定要因だ」と警告。軍備の近代化や宇宙空間での軍事開発を警戒していく姿勢を示した。
過激派組織「イスラム国」掃討に関しては、米軍の空爆などにより、壊滅に向け「一定の前進をみている」と分析した。一方で、将来の戦略を再検討する可能性を完全には排除しなかった。