植物の受精卵が分裂し、種のもとになる胚ができる過程を生きたまま観察することに、名古屋大の研究チームが成功した。受精卵を容易に取り出して観察できる動物と異なり、組織の内部で進む種子植物の発生過程を生きたまま可視化したのは世界初という。論文は9日付の米科学誌デベロップメンタル・セル(電子版)に掲載された。
名古屋大の栗原大輔特任助教らは、シロイヌナズナから取り出した受精卵を、糖の一種トレハロースを加えた培地で培養できることを発見した。さらに受精卵のサイズに合わせて200マイクロメートル(マイクロは100万分の1)ごとに小さな柱が並ぶ「マイクロピラーアレイ」を開発。この柱の間に受精卵を置いて固定し、数日にわたる発生過程を顕微鏡下で連続観察できるようにした。
蛍光たんぱく質を組み込んだ受精卵を観察すると、最初の分裂で胚を作る「頂端細胞」とへその緒のように栄養補給を担う「基部細胞」に分化し、それぞれが分裂を繰り返す様子が確認できた。