プロフェッショナルスクラムトレーナで,SmoothAppsの創設者でもあるRavi Verma氏は,先日の自身のブログで,EDD(Empathy Driven Development, 共感駆動開発)というコンセプトを紹介した。氏の説明によると,EDDとは,影響を受けるステークホルダ(利害関係者)への共感に基づいてチームメンバの意思決定を行う,ソフトウェア開発のアプローチなのだという。
このアプローチは開発チームに対して,組織という制約の中で,ステークホルダと彼らを隔てる障壁を回避するために,創造的な自己組織化を行うことを求めます。
iRobotのシニア・プリンシパル・ソフトウェアエンジニアであるChris Svec氏は,自身のブログで,ソフトウェアエンジニアリングにおけるEDDを次のように定義する。
共感駆動開発とは,特にエンジニアが,よりよいソフトウェアエンジニアリング(およびその他のエンジニアリング)を行うための,個人的な試みです。
Vema氏はEDDを,スクラムを用いたアジャイルソフトウェアデリバリを補完するものだという。EDDはバックログ管理やバックログ詳細化,スプリント計画,日々のスクラムやスプリントのレビューといった,スクラムのアクティビティやイベントにおける鍵なのだ。そのEDDを実践する上で障害となるものを,氏はいくつか挙げている。
Vema氏はEDDの最初のステップとして,ステークホルダの共感マップの利用を推奨する。氏が説明するプロセスは,
Vema氏は,ステークホルダの共感マップを使って,ステークホルダと関係を持つ上で必要な会話や未検証の仮定,アクションアイテムを導き出し,さまざまな行動と会話を行った結果,ステークホルダとの共感を向上できたという,自身の経験を語っている。
Chris Svec氏はEmbedded System Conference Boston 2015で,EDDについて講演した。講演の中で氏は,共感は新しいツールではない,と述べている。
エンジニアリングの世界において,共感は,新たなツールではありません。ユーザエクスペリエンスやデザインの世界では,エンドユーザや顧客の立場に自身を置くために,古くから使われてきたものです。私が試そうとしているのは,これをエンジニアリングチーム内に取り込むことで,お互いに,さらには将来の自分に対して,共感を持つということです。