韓国の巨大掲示板サイト「イルベ」(正式名称は「日刊ベスト貯蔵所」)は閲覧回数が10億を超える韓国版・ネット右翼の巣窟とされ反日的な書き込みの多かったサイトだが、最近は「日本を見直した」という言葉や日本を褒める書き込みが増加している。とくに目立つのが、訪日した韓国人が日本の公共サービスなどに感激して日本びいきとなるパターン。
また災害時の対応なども韓国と比較して賞賛の的となっている。
日本の子供たちも絶賛される。横断歩道の手前で停止したドライバーにお辞儀をして渡る子供たちの姿が動画サイトに投稿されると、韓国のネット民はこの礼儀正しさに大きな衝撃を受けたようだ。
〈子供たちの教育をこんなにしっかり出来るのはやはり先進国だな〉
〈車もしっかり停止線守ってる〉
〈カルチャーショックだ〉
日韓の家庭教育の「格差」を指摘する書き込みもあった。
〈家庭教育自体、韓国と日本では雲泥の差だ。日本の母親が子供たちに必ず教えるのは、他人に迷惑をかけないということ。これを最も重視するから、日本の子供たちは他者に配慮する心を持っている〉
〈日本人の子供に対するしつけだけは認める〉
教育熱心で知られる韓国だが、日本人のノーベル賞受賞者22人に対し韓国人はわずか1人。この動かせない事実に頭を抱えるネット民もいた。
〈同じ人種なのに、なぜこれほどまでに違うのか? 幼い頃から高度な教育を受けているので頭が冴えているのか? それとも、純粋に両国民のDNAの差なのか〉
一方でこんな冷静な分析も。
〈韓国人は開発に対する意欲がなく、安定した暮らしばかりを考えるから、発展するはずがない。学問に飢えてこそ習得できるというものだが、韓国人は勉強をある程度すると、金銭管理や自己管理の方に忙しくなる。確かに、時代的な問題もあっただろうが、結局は文化的な問題のほうが大きいと思う〉
いまだ言論統制の風潮が強い韓国では、匿名の掲示板ゆえに「本音」を発散できる側面がある。イルベに寄せられたネット民たちの声は、日本の素晴らしさばかりでなく、現在の韓国が抱える様々な問題を映し出している。
※SAPIO2015年8月号