テトリスと一緒に、つらいできごとの記憶を全消し!
テトリスをプレイするのに必要な脳の画像処理機能が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)に悩まされる人たちのフラッシュバック克服に役立つかもしれないという研究結果が得られたそうです。
2009年のこと。Emily Holmes氏が率いるイギリス医学研究審議会の研究チームは、トラウマ的なできごとから4時間以内にテトリスをプレイすると、被害者がそのできごとを思い出すフラッシュバックの回数が減らせるという研究結果を報告していました。
しかし、兵士だったり、性犯罪被害者だったり、交通事故に巻き込まれたりという人たちにとって、4時間以内にテトリスをやるというのはあまりに非現実的。時間の経過とともに記憶は脳の中で確固たるものとなり、フラッシュバックを緩和するのは難しくなるのだそうです。
そこで今回、同チームは、時間が経ってからでもテトリスで遊ぶことで効果があるのか検証するため、新たな実験を行いました。まず、56人の被験者はトラウマになりそうな悲惨な光景が写っている12分間の映像を視聴。
翌日、被験者たちは映像の記憶を活性化させて脳の中で修正されるよう、同じ映像とその概要を再度見ます。その後、半分の被験者は12分間テトリスをプレイ。1週間後、テトリスをプレイしていた人たちはプレイしていなかった人たちよりもトラウマ的な映像の記憶が51%少なく、PTSD診断に使われる質問表の点数も低かったのだそうです。
研究チームは、テトリスのようなゲームは脳で視覚情報をすばやく処理しなければいけないため、トラウマ的なできごとに関連するイメージが浮かぶのを阻止してくれるのでは考えています。
チームによると、脳内の記憶は存在し続けるけれど、そのイメージは鮮明さに欠けるとのこと。さらに、似たような種類のゲームでも同じ効果が得られるのではないかと見られています。
この研究結果をもって、すぐに病院でテトリスが使われるようになることはないかもしれませんが、もしもの時のために、「PTSDにはテトリス」と覚えておいてもいいかもしれませんね。
Image by Leonora Giovanazzi under Creative Commons license
Source: Psychological Science via New Scientist
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(conejo)