【ブリュッセル時事】ギリシャへの金融支援の可否を判断する欧州連合(EU)ユーロ圏19カ国の財務相会合が11日、ブリュッセルで開かれた。ギリシャ政府が支援獲得のために提出した財政改革案について、EUなどの債権団は前向きに評価、支援合意の実現に前進した。ただEU主要国ドイツは、ギリシャの改革の実現性になお懸念を示しており、意見集約は難航する可能性もある。
6月末で支援を打ち切られ、資金繰りに窮しているギリシャは、支援再開への道が開けなければユーロ圏離脱を迫られる公算が大きい。1999年の欧州単一通貨ユーロ導入以来初の事態を回避できるか、EUは「重大な決定」(財務相会合のデイセルブルム議長)を下す。
支援の前提条件となる改革案を精査した債権団は10日、増税や年金見直しなどの譲歩が盛り込まれたことを受け、「肯定的評価」を下した。ギリシャ議会も11日未明に改革案を承認、改革の実行性を確保し、ユーロ圏財務相らによる議論の環境が整った。
ただデイセルブルム議長は、会合を前に「非常に困難な会合になる。(ギリシャとの)信頼関係に大きな問題がある」と述べ、楽観を戒めた。
ギリシャはユーロ圏の危機対策基金「欧州安定機構(ESM)」を活用した今後3年間の融資を申請。銀行の資本増強費用などを含めると、800億ユーロ(約10兆9500億円)を上回る支援が必要になる可能性もある。
改革案をめぐっては、フランスのオランド大統領やイタリアのレンツィ首相らが「信頼できる」と評価。しかし、最大の資金拠出国ドイツの支持がなければ合意は難しい。
財務相会合が「支援は可能」と判断すれば、ギリシャとの交渉が正式にスタート、新たな支援へ動きだす。EUは融資実行までの資金繰りを確保する支援も検討する。
「支援は困難」と判断されれば、ギリシャのユーロ圏離脱はさらに現実味を帯びる。EUは12日にユーロ圏首脳会議とEU首脳会議を開催し、銀行の休業や預金引き出し制限で市民生活が大混乱に陥った同国への人道支援の可能性を協議する。ユーロ圏離脱など不測の事態に備えた危機対策を話し合う可能性もある。