いつも元気いっぱいで前歯が出ていてムックと仲良し――ガチャピンに対するイメージといえばこの程度のものだった。何の気もなしに『#ガチャピン本』(ガチャピン/一迅社)を開いた私は、その認識を改めなければならなくなった。『#ガチャピン本』は、ガチャピンのTwitterの投稿をまとめた本。本書にまとめられている投稿はいずれも、視聴者からの質問にガチャピンが答える形式を取っている。ほかには、ガチャピンの自撮り(失敗して前歯がドアップになっている)や、ムックとの一日を追った写真ページも楽しめる一冊だ。これだけなら、一見のほほんとしたキャラクターブックに思えるのだが、ガチャピンのTwitterの発言を読んでいくと、どうも様子がおかしい。
投稿の半分くらいは、以下のようにアイドル然とした明るい受け答えである。なんせ、地上波の人気番組を支える、国民的怪獣なのだ。こういうキャラクターになるのは必然であろう。
Q.ガチャピンは、どうしてチャレンジするの?
だが、読み進めていると、ときどきおかしな発言が見受けられた。
Q.ガチャピンの前歯って乾かないの?
Q.黒歴史はないですか?
Q.ガチャピンはいつ寝てるの?
Q.ガチャピンもトイレ行くの??
Q.最近調子はどう?
Q.ガチャピンのツイートは誰が書いてるの?
Q.ガチャピンはリンスする?
Q.ガチャピンどこ見てんの?
これだけではない。一番の仲良しであるはずのムックに対しても、この扱いである。
Q.最近、ムックとうまくいってる?
Q.ガチャピン知ってる? ムックの口の下のモジャモジャの長いやつってヒゲ?
Q.実のところガチャピンはムックの事どう思ってるの!?
さらには、「かわいい」と褒めてくれた視聴者に対してこの仕打ちだ。
視聴者「ガチャピンかわいい。目の中に入れても痛くない」
「痛いよ!」じゃないよ。そういう話じゃないよ。ガチャピンよ、お前さん、「かわいい」の褒め言葉をもっとまっすぐに受け取ろうよ……。
ガチャピンは思っていたよりもずっと、雑で冷たい怪獣なのだった。
取材・文=朝井麻由美