中国メディアの21世紀経済網は10日、中国の株式市場で株価の変動幅が大きくなり、急落と急騰という不安定な値動きが続いていることについて、「株価急落が不動産市場に波及する恐れがある」と論じる記事を掲載した。
記事は、不動産市場は株価急落における逃避場として機能するかという質問について、「恐らく機能しない」と伝え、その理由として「株価が急落するとともに、不動産価格も下落した」ことを挙げた。
さらに、15年上半期に不動産価格が上昇した深セン市においても「株価が急落したことで7月には不動産価格も下落に転じた」と指摘。さらに北京市や上海市では14年からの株価上昇を受け、株式投資で利益をあげ、高級住宅を購入する投資家が見られたとしながらも、株価急落を受け、相場より安い価格で売りに出された高級住宅も見られたと紹介した。
続けて、中国の中古不動産価格の値動きを示す指数は株価急落によって1週間で8.3ポイントも急落したと指摘。中国では「株価と不動産価格は負の相関関係があると考えられていた」とし、不動産価格が上昇すれば資金が株式市場から不動産市場に流れ、株価が上昇すれば不動産市場から資金が流出し、株式市場に流れるとの見方が一般的だったと紹介。
一方、「今回の株価急落ではこうした考え方が否定された」とし、株価急落によって信用取引を行っていた多くの投資家は追証が発生し、不動産の購入資金を追加担保として差し入れたため、不動産価格も同時に下落したとの見方を示した。
また記事は、「株価の急騰、急落によって中国の個人投資家の資産は急激に減少している」と伝え、中国の不動産仲介大手の見解として「当局の下支え策が不十分である場合、信用取引残高の多い中国株式市場は崩壊してしまう可能性がある」と指摘。市場の変動には今後も注視が必要だとし、株価の下落が続くようであれば「不動産市場も大きな影響を受けることになる」と警戒心を示した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真は「CNSPHOTO」提供)