日本の捕虜を、蒋介石も毛沢東も「作戦投入」していた! 中国メディアは「国際法」との兼ね合いには触れず | ニコニコニュース

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 中国共産党機関紙・人民日報系のニュースサイト「人民網」は6月29日、「抗戦勝利後、国共双方は大量の日本軍捕虜を作戦に使った」と題する文章を掲載した。同文章はその後、環球網、北京晨報など多くのサイトが記事として掲載した。

 記事は、蒋介石は日本軍の「侵華総司令(中国侵略総司令官の意。日本側の正式呼称は支那派遣軍総司令官)」岡村寧次の罪を問わず、顧問にしたと紹介。「東条英機ら戦犯は東京で裁かれることになったが、国民党は敗軍の将に指揮権を与えた」などと非難した。

 共産党側については、旧満州に残っていた軍と医療スタッフを「使用した」と紹介。国民党との内戦では、日本人医師や看護師が三日三晩不眠不休で前線から運ばれてくる負傷した将兵を治療したなどと紹介。実戦で敵の陣地を確実に壊滅させる砲撃を見せ「神の砲撃手」と呼ばれたが、武器点検中の事故で「若い命を捧げた」旧日本軍人も紹介した。

 記事は、共産党がそれまで保有していなかった空軍を獲得したのは、関東軍の錬成飛行隊長だった林弥一郎(最終階級は少佐)によることも触れた。同隊は投降後、操縦士20人、整備士など約100人、その他の地上スタッフ200人が共産党の軍事組織である東北民主聯軍に加わった。中国共産軍初のパイロット160人を育成したとされる。

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◆解説◆


 現地指揮官が「了承」したとはいえ、投降した将兵を作戦に投入することは国際法違反の疑いがある。中華民国が1907年に調印したハーグ陸戦条約は、投降兵に対す労役について「一切の作戦行動に関係しないものでなければならない」(第6条)、「平和克復の後はなるべく速やかに、俘虜をその本国に帰還させなければならない」(第20条)などと定めている。

 上記記事では、国民党に協力した旧日本軍人を非難する一方で、共産党への協力は称讃するなどの「不整合」もみられる。

 なお、中国民国軍が人民解放軍の金門島上陸を撃退できたのは、旧日本軍人による国民党政府の軍事顧問団の「白団」の作戦による。白団はその後も中国民国軍の再建に大きな功績があったとされる。

 林弥一郎氏が育成したパイロットは朝鮮戦争でも活躍した。米軍は「せいぜいプロペラ機時代」と考えていた中国側がソ連製の「MiG-15」ジェット戦闘機を投入し、自軍戦闘機を撃墜したことに衝撃を受けた。

 中国軍がジェット戦闘機パイロットを急速に育成できたのは、第二次世界大戦時の「最速機」のひとつだった米国製の「P-51」を共産党が手に入れ、林氏が率いる日本人グループが徹底的に研究し、中国人の練習生に「高速機の操縦」を伝授したことによるとされる。(編集担当:如月隼人)(写真は北京晨報の上記記事掲載頁のキャプチャー)