中国メディアの参考消息は9日、ドイツメディアの報道を引用し、中国の世界のレアアース市場における影響力が低下していると主張した。
記事は、米国のテレビ局がこのほど「中国はレアアース市場を独占しており、他国の中国依存を利用することができるため、米国の製造業や軍事産業にとっての脅威である」と報じたことを伝える一方、米国のレアアース業界の専門家が同報道について「誤っている」と反論したことを紹介。
さらに、同専門家が「中国のレアアース市場における影響力は大幅に低下しており、もはや独占的な立場にない」と主張したことを伝えた。さらに、世界のレアアース生産量における中国のシェアは短期間で97%から86%まで低下したと伝え、同専門家が「中国が仮に自国の市場における影響力を行使しようとしても失敗に終わるはず」と述べたことを紹介した。
また記事は、中国が2010年にレアアースの輸出制限を行ったことでレアアースの価格が上昇したと指摘。それによってレアアースの生産を開始する国が現れたとしたほか、レアアースを使わずに済む技術の開発も促されたとし、レアアースの需要そのものの減少につながったと論じた。
さらに、レアアースの需要が減少したことでレアアース価格は大幅に下落したと伝え、市場規模も大幅に縮小してしまったと指摘。中国は今年、レアアースの輸出割当制度を廃止したが、「もはや実際の輸出量は割当量を下回る状況だった」と伝えた。
また記事は、2011年ごろは「15年における世界のレアアース需要量は毎年20万トン以上に達する」との予測もあったとしながらも、過去数年の世界のレアアース需要量は11万トン程度にとどまっていると伝え、一部のレアアースについては中国が市場を主導する立場にあるとしながらも、中国はレアアース市場全体を独占するような立場にはないと論じた。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)