中国のポータルサイト「新浪網」は9日、ロシアの報道を引用して、人民解放軍(中国軍)が太平洋における領土問題に関連して、日・米・フィリピンを念頭に航続距離が8000キロメートルに及ぶ戦略爆撃機の開発を目指していると報じた。
記事によると、中国政府も空軍の「戦略性構築」を重視するようになったという。中国の軍組織でこれまで、米国との本格的対決など「空の戦略的軍事力」を担ってきたのは、大陸間弾道ミサイルなどを扱い、空軍とは別組織である第二砲兵部隊だった。空軍が新たに開発された「戦略爆撃機」を扱うことになれば、中国軍の「役割分担」と「戦略構想」の変更がもたらされることになる。
記事によると、最近になり中国軍の上層部が出席した会議で、戦略爆撃機の必要性が確認された。中国共産党が「日本やフィリピンと対立している東シナ海や南シナ海で、中国の領有権の権利を維持する」との意思を堅持していることが背景で、爆撃機の目標は「太平洋上の島」とされたという。
「目標」についての具体的分析はないが、大陸国家である中国から見れば、日本本土やフィリピンも「太平洋上の島」ということになる。
爆撃機に求められる性能としては「航続距離が8000キロメートル、搭載量が10トン以上」とされたという。
中国では最近になり、「大型爆撃機の必要性」を説く記事が増えていた。中国政府系の英字紙チャイナ・デーリーは7日付で「中国に長距離爆撃機の計画がある模様」と題する記事を掲載。中国メディアは同記事を「中国は『Tu-160』戦略爆撃機のコピー版を持つべき。『太行』を4基搭載すれば『B-1B』以上になる」などの見出しで紹介した。
Tu-160はソ連のツポレフ設計局が開発した戦略爆撃機。初飛行は1981年。航続距離は1万500から1万4000キロメートルとされる。
B-1Bは米ロックウェル者が開発した「B-1」戦略爆撃機の改良量産型。航続距離は1万1978キロメートル。初飛行は1974年。現在も現役だが、爆撃機ではなく近接航空支援用に使われている。
「太行」は中国が開発したターボファンエンジンの「WS-10(渦扇-10)」の愛称。米国製の「CFM56-3」をベースに1982年代初期に開発に着手したが、トラブル続きで難航し、軍用機への搭載が本格化したのは2014年ごろとみられている。現在も、中国機が多く用いているロシア製エンジンと比べて信頼性には劣るとの見方がある。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Stepan Popov/123RF.COM。Tu-160戦略爆撃機)