自転車っていうか、ペダル付きバイク?
ヨーロッパのエンジニアたちがこれ以上にないハイスペックな電動自転車を開発しました。その名もTrefecta DRT! なんと最高速度は時速70km。原付より圧倒的に速い。自転車にしてはオーバースペックなTrefectaですが、なんと米Gizmodo編集部のAttila Nagy記者がTrefectaに試乗し、そのすごさについてレポートしてくれました。
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自転車に4000Wのモーターを搭載したら、何が起こるか知ってる? 単純にクレイジーだけど、胸がドキドキするくらい楽しくって、ペダルを漕げば信じられないくらいのスピードが出るんだ。
それを実現したのが、Trefecta Mobilityが開発した電動自転車「Trefecta DRT」。勇気(とお金)があれば誰でも乗ることができる。
これまでバイクや電動自転車を買ったことはなかったけれど、僕は幸運にもこの電動自転車に乗ることができた。しかもその開発者である、Haiko H. G. VisserとFrank Hartmanから話を聞くこともできた。
オーストリアのシュピールベルクで開かれているオーストリアグランプリで、僕たちは出会った。Trefecta社は、赤と黄色のレーシングカーが特徴の、スペインのGP2レーシングチームRacing Engineeringのスポンサーだ。なんで電動自転車の会社がレーシングチームのスポンサーをしているのか、疑問に思うかもしれない。でも、数日間この電動自転車を取材してその意味がわかった。
この自転車はRacing Engineering GP2のオーナー、Alfonso de Orleans-Borbonが所有するもの
レッドブル・リンクで行われたバイクツアーの間に、Haiko(Trefecta Mobilityの会長かつ営業マンで、自社製品の愛用者でもある)はTrefectaの開発について語ってくれた。
「これがパワフルな電動自転車、Trefectaさ。オランダ、ドイツ、スイスのエンジニアたちが設計した。乗ってみたいだって? だったらスロットルには気をつけてくれ。ウィリーしたくないならな。」オーストリアグランプリの3日間、Haikoはこのセリフを何回も言ったにちがいない。
Haikoがウィリーが簡単にできることを見せてくれた
彼はウィリーのやり方について話してくれたけれど、決して大げさなものじゃなかった。実際、ハンドルバーの右側にあるスロットルを回すと、自分の体が持ち上がった。自分のおしりの下にある、このパワーを操作できるか不安だったけど、次の瞬間には「こいつはすごい!」って叫んでしまったね。
シングルフォーク式のTrefectaに試乗
でも、Trefectaの運転はそれほど難しくない。油圧式で、自動シフトしてくれるドライブトレインのおかげで、驚くくらいスムーズかつ高速に電動モーターが反応してくれる。だから、車体は安定したまますごいスピードが出せるんだ。どれくらいすごいかっていうと、ペダルを漕がないで時速40~45マイル(約64〜72km)まで出せるんだ。しかもペダルを漕いだ場合は、Smesh Gear Pedelec Systemっていうシステムが働いて、時速60マイル(約96km)ものスピードが出る。でも速すぎるから、国によっては違法になるかもね。
タイヤの跡が残るくらいのパワー
オフロードで走るのも面白かった。僕とHaikoはGP2のパドックを抜け出し、近くの空き地に行った。雑草がしげってぬかるんでいる地面の上で走ってみたけど、とても楽しかった。ホイールに付いているアクティブサスペンションシステムのおかげで、そんな地形も楽々走れた。普通のマウンテンバイクじゃ不可能だろう小回りもTrefectaは可能だった。
坂道はどうだろうか? 僕はあまりスポーツはせず、せいぜい自転車で通勤するくらいだ。しかも汗をかくのがいやで、坂道はできるかぎり避けるようにしている。でもTrefectaなら、そんな僕でも後ろから背中を押すように坂を上っていくことができた。
目の前に草が生い茂った30~40度くらいの傾斜があると想像してほしい。もしTrefectaに乗っているなら、坂を上るのに必要なのは次のことだけだ。左グリップにあるボタンを押してギアをロウからハイに切り替え、右グリップのスロットルを回す。それだけでシロイワヤギのように、傾斜を上っていくことができる。
自然の中のTrefecta
マンマシンのハイブリッドもとても洗練されたデザインだ。Trefectaの20インチフレームは防塵防水で、その中にはバッテリーパックと電動モーター、変速機が詰まっている。このフレームには、宇宙産業でよく使われている7075アルミニウム合金が用いられている。このアルミニウム合金は、最強のアルミニウム合金と呼ばれ、鉄と同じくらいの強度を持ちながらアルミニウムと同じくらい軽量なんだ。
それに加えて、ホイールなどいくつかの部分にはカーボンファイバーが使用されている。そのおかげで、人間とカゴを合わせて350ポンド(約158kg)まで耐えられるくらい頑丈だ。
言い忘れてたけれど、Trefectaは折りたたむこともできるんだ。85ポンド(約40kg)もあることを考えると、毎日折りたたむようなものじゃない。でも、長期間保管しておく場合を考えるとコンパクトだと言える。
不完全だけど、ここでTrefectaのスペックを載せておく。
ここまで来れば、この電動自転車の問題点に気づくと思う。そう、値段が高すぎることだ。性能を抑えたベーシックなバージョンのTrefectaでさえ、25,000ドル(約306万円)もする。Trefectaは明らかに、僕のような人間でなく、フェラーリやランボルギーニもしくはアストンマーチンのような高級車やヨットを所有し、ヘリコプターでオフィスへ通勤するような人向けだ。そう、ガレージにこういった乗り物を飾りたがるような人種さ。でも、これまでに20台のTrefectaが販売され、500件以上のプレオーダーが入っているそうだ。
もし、暇を持て余していてこいつをGizmodoに寄付してくれような人がいるなら、連絡してくれ。
image by Attila Nagy/Gizmodo
Attila Nagy - Gizmodo US[原文]
(谷垣友喜)