Eclipse Foundationは今日,Eclipseソフトウェア統合リリースの10周年となるEclipse Marsのリリースを発表した。Eclipse Foundationは昨年,すでに10周年を迎えている。また,名称の元になったIDEの記念日は2011年だったが,ソフトウェアを統合したリリーストレインが始まったのは2006年のCallisto(Eclipse 3.2との組み合わせ)からだ。リリーストレイン以前もIDEは年次でリリースされていたが,その他のEclipseプロジェクトはそれぞれ独自(IDEの数ヶ月後になることが多かった)にリリースされていたため,プロジェクト間の依存関係の管理が難しくなっていた。統合リリーストレインを導入することで,プロジェクトの相互テストによるバグの排除が可能となり,リリースの安定性が向上した。さらには,リリーススケジュールの共有やリリースプロセスの緩和により,最終段階での変更も容易になり,それが原因でエンドユーザを失望させることもなくなった。Eclipse IDEの実行にはJava 7以降が必要だが,次期リリースのNeonではJava 8への移行が予定されている。
今回のEclipse Marsリリースでは,Linuxツールの一部としてDockerツールが同梱されるとともに,MavenとGradle(組込みツール用に改変)がサポートされるようになった。さらに,Java 8対応機能の強化に加えて,Eclipse MarketplaceからはJava 9の初期アクセス版サポートも提供されている。ランタイムも拡張された。Oomphプロジェクトを使用したカスタムインストーラにより,IDEのパーツ化と構成が可能になり,プロジェクトの自動チェックアウトも実現した (InfoQが以前お伝えしたOomphに関するプレゼンテーションや,開発者インタビューを参照)。Code Recommenderプロジェクトの提供する自動レポート機能が提供する,開発サイクル全体を通じたフィードバック(この機能を取り上げたInfoQの記事も参考にしてほしい)が,今回のリリースをより品質の高いものにした。Code Recommenderプロジェクトの変更にはコンストラクタとサブタイプの補完もあり,Eclipse Marsパッケージではこれらがデフォルトで有効になった。Mavenユーザにとって歓迎すべきなのは,ネストしたプロジェクトをサポートする機能だ。これにより,10年以上前に確認されていたバグがクローズされただけでなく,同じく10年以上前から提起されていたMacアプリケーション用プロジェクトの改善も実現している。また,コンテントアシストのデフォルトタイムアウト時間が変更されたことは,コード補完をコンテントアシストに頼っていた高速タイピストにとって朗報になるだろう。
その他のEclipseプロジェクトも,統合リリースに最新版を提供している。Jubulaプロジェクトはテスト用APIをリリースした。またSirius図表プロジェクトでは,大規模モデルのパフォーマンス向上とクエリ言語を実現している。Gitサポートも改善された。git-flowとリベース操作が新たにサポートされる他,スタッシュにも改良が加えられている。さらにプロジェクトのほとんどが,try-with-resourcesによるリソースリークの回避など,Java 7をサポートするように更新されている。
ミラーサイトを報告するインフラストラクチャも改善されて,最新の状況チェック結果の反映や,FTPのみのミラーサイトの一部廃止などが実施されている。また,ミラーの順位付けにGeoIPルーティングが採用されたことで,以前よりもダウンロードが高速になった。その他として,リリーストレインに含まれていないEclipseプロジェクトのリリースもある。そのひとつであるVert.X 3.0のリリースには,新たにVert.X-WebプロジェクトやReactive Streamsのサポートが含まれている。
昨年と同じようにEclipseSourceのIan Bull氏が,”Eclipse機能トップ10”を発表した。今年は次のような項目だ。
Eclipseはhttps://www.eclipse.org/downloads/からいつでもダウンロード可能だが,可能ならば新しいEclipseインストーラを試してみてほしい。