市内の全小中学校に、教材としてタブレット端末を導入した佐賀県・武雄市。2億円を投じ、県外からも注目を集めたビッグプロジェクトとなりましたが、いざスタートしてみると、端末がうまく起動しないなどのトラブルが続出し、現場が大混乱……。そんなニュースが話題になっていますが、さて、夏野剛氏の見解は?
佐賀県・武雄市。ここは日本の中でも、デジタル教育というものをかなり早くから導入している市ですから、日本中が注目しているわけですが、ここでたいへんなトラブルが起きているという報道がありました。
デジタル教材として、Androidの中でも価格の安い中国製のタブレット端末を学校に配ってしまったために、非常に動作が不安定で、トラブル続出状態になっているというのです。
実は武雄市は、タブレット教材の本格導入に先駆け、2つの小学校でテスト運用をしていました。そして、そのテスト運用の時にはiPadを使っていたそうです。それなのに、全校に導入されたときには、格安Android端末になっていたと……。
よくご存知の方も多いと思いますが、AndroidとiOSを、特にタブレット端末で比べると、もう差は歴然としています。僕もいろいろなタブレットを持っていますが、圧倒的にiOSがわかりやすい。ちょっとでも使って比較検討してみたら、まあ誰でもわかると思うのですね。
武雄市が、この「誰でもわかる」ことを比較検討しなかった、もしくは、無視して価格を優先してしまったのだとしたら、まったくお話になりません。Androidしか使ったことのない皆さんはピンと来ないかもしれませんが、そもそも全然別物なのです。
考えてみてください。小学生、中学生という年代に手にしたもののUI(ユーザーインタフェース=操作感)が簡単かどうかは、その後の彼らの人生にものすごい影響を与えると思います。今回の件に対し「なぜ国産メーカーのAndroidにしなかったの?」という声があるのはさておき、この際、教育現場は全部iOS。これくらいにしていいんじゃないでしょうか。
アップル社はアカデミックディスカウントというサービスをアメリカでやっていて、アメリカで学生がMacを買おうとすると、だいたい半額くらいで手に入るのですね。日本でもこれをぜひ活用していただいて、アップルには安い価格でiPadを卸してほしいものです。
その代わり、日本全国、デジタル教科書は全部iPadにしましょう。Androidなんてもういいです。すぐ「国産メーカーのために」なんて言って、またバラバラのAndroid端末でデジタル教科書を検討するなんてくだらない話が出ますが、それではいつまでたっても「教育」という本当の目的が達せられません。
それくらいの割り切りができないと、デジタル教科書の普及なんて、もう夢のまた夢ですよ。