安保法案:与党・維新、協議継続 採決強行、火種も - 毎日新聞

 自民、公明、維新の3党による14日の安全保障関連法案に関する協議は物別れに終わったが、継続して協議を行うことでは合意した。与党は参院での採決やその後の政局をにらみ、維新との協力関係を引き続き模索する意向だ。維新も「責任野党」であることを示すため与党との協議継続を決めたが、与党の強引な採決方針への反発も強く、自公維協議は今後も曲折をたどりそうだ。【田中裕之、松本晃】

 約2時間の協議の後、自民党の高村正彦副総裁は記者団に「とてもいい意見交換ができた。お互いに理解し合えるところがあった」と協議の意義を強調。維新の党の柿沢未途幹事長も記者会見で「極めて有意義かつ建設的な協議になった」と評価した。

 与党が維新との対話継続に意欲を示すのは、民主党の勢力が衆院より強く、与野党対立がさらに激しくなるとみられる参院審議をにらんでのことだ。

 参院での関連法案の審議は9月上旬までとみられている。政府・与党は法案の骨格を修正する意図はないものの、維新などが提示する武力攻撃に至らないグレーゾーン事態に対処する「領域警備法案」などに関しては、将来的な課題として検討すること自体は否定していない。

 このため、参院審議の段階で何らかの形で歩み寄り、維新から採決への協力を引き出すことで「強行色」を薄めることが政府・与党の思惑だ。

 一方、維新が対案を提出して与党との協議に臨んだのは、責任野党の姿勢をアピールする絶好の機会と受け止めたためだ。衆院での採決前には党内の意見調整が難航して対応が二転三転したが、党内には「何でも反対」の野党とは距離を置く路線を維持すべきだとの声は根強い。維新最高顧問の橋下徹大阪市長は「民主党とは一線を画す」「審議拒否は税金泥棒」などと主張してきた。

 ただ、15日の採決日程の決定に維新は強く反発。馬場伸幸国対委員長は14日夜、記者団に「自民は信義則に反する。(自公維協議の継続を)与党が提案したのに、それを全部ひっくり返すような対応で、これでは協議は続けられない」と不満をあらわにした。