Photoshopをはじめとする画像編集ソフトは凄い発明でした。信じられない? じゃあPhotoshop以前の時代の画像編集がどんなだったか見てみましょう。
製図ペン、T定規、ゴムのり、X-Actoナイフなど、様々な道具が必要で、その過程も時間と手間がかかるものだったんですよ。文字通り「ショートカット」(近道)なんてありません。Photoshopなら数クリックでできることだって、長い時間がかかるんです。
こちらはLynda.comがPhotoshopの25周年を記念して公開した動画、解説はSean Adamsさんです。
始める前にインクを入れないと。
製図ペンにインクを入れたりと道具を準備。レイアウトは定規を使って描いて綺麗に書かないといけません。写真を取ってもらったら、作業用に安い白黒版コピーをとって、それを使って作業。クロップも手作業、写真の張り付けはゴムのりで。ガイドもないので定規で中心を図って位置決めしないといけません。
文字のカーニングは自分で切って位置調整。Adamsさんの初仕事では、アートディレクターがX-Actoナイフを「がさつで太い」と言って使わせてくれず、手術用のメスか裸の剃刀の刃を使わなければいけなかったとか…
宣伝文句はタイプしてからフォント名やサイズも書き添えてタイポグラファーに送ることで、そのフォントやサイズで書かれたものが送られてきます。でもこの文字を送ってもらうやり取りだけで24時間かかります。なので事前に様々なフォントとサイズのものを注文しておきます。
Photoshopでマスクが赤いのもルビリスからきています。
クライアントから画像を追加してほしいと頼まれ、商品画像をもらったものの、商品の後ろに写ったものが邪魔で取り除きたい。そんなときには赤いマスキングフィルム、ルビリス(Rubylith)を切ってマスクを作ります。写真に傷があれば、それを消すためエアブラシを使います。
レトラセットはこういうのやスクリーントーンで有名な会社
文字の修正依頼があるけど時間はない。タイポグラファーから文字が送られてくるのを24時間も待ってられない、なんてときには自分でなんとかしないといけません。レトラセットのシートを使って文字を消して、レトラセットのレタリングを使って加えます。ベジェ曲線ツールもない時代、「フレンチカーブも欲しいなぁ」なんて依頼を受けて一部トリムする場合には、雲形定規を当ててマーキングして、ルビリスでマスキング。
完成しても気が抜けません。
とりあえずドキュメントの完成。これを「メカニカル」と呼び、この上に色配置などの指示をオーバーレイしたものをメッセンジャーに渡し、プリンター屋さんに届けてもらいます。でも配達途中で水にぬれたりなんかすると、また一からやり直しに…。
アンドゥもバックアップもなく、すべてが物理的な手作業の時代。こうしてPhotoshop以前の画像編集を振り返ると、改めてPhotoshopのありがたさがわかりますね。
Casey Chan - Gizmodo US[原文]
(abcxyz)