新興企業のホラーな勤務体験を31アイスクリーム風に31話まとめた特集より、第1話「あらゆるドラッグとセクハラ男が集まる会社」(報告・Kさん)をどうぞ。
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シリコンバレーに引っ越してきた頃の私はまだ若くて、ただの世間知らずでした。スタートアップと聞いても「よく働き、よく遊べ」の会社ぐらいの認識で、今思えば全員男性の会社に就職が決まったときにも(私の肩書きはマーケティング嬢。理由は…まあそういうこと)、何が待ち受けているのか全くわかってなかった気がします。
このスタートアップは「販売自動化」の会社で、表向きは販売業務すべてを自動化するってことになってましたが、その実体はテクノロジーの皮を被った詐欺同然のものでした。苦情の嵐なのに、経営が存続したこと自体が驚きです。
私の直属の上司は共同創業者。ルックスだけで、脳みそゼロ。 そのルックスにかける執念たるやすさまじいもので(それで私は採用された。これについては後述)、たちまち私に夢中になって、チャンスさえあれば関係をもちたいと、そればっかりでした。出張も一緒、オフィスでも一緒、社内では私だけ特別扱い。
そのうち女性をもう2人雇って大きなオフィスに引っ越したんですが、私専用のオフィスまで用意してくれて、早帰りも認めたり、特別扱いは続きました。50kg以上ある女は「デブ子」だと言って、「食べちゃだめ。デブのブスになりたいの?まさかね」 と言うのが口癖で、普段着で出社すると「もうちょっといい服着ろよ」と言われました。
きっとみんなには、不倫してると思われていたと思います。なんか自分が悪い人間になった気がして、出社する足が重くなって、それで逃げ場を探し始めたんですね(別の仕事探さないと、お金ないから辞められないし)。一番気味悪かったのは、経営陣がみなこれで構わないと思ってたことで、誰に咎め立てされることもありませんでした。
というか経営陣もセクハラで、公然とドラッグ勧めて、コーク(コカイン)やってるし…職場で! そのうち「落ち目のスタートアップ」になってきたら怒鳴り声が絶えなくなって、またドラッグに溺れる悪循環なってましたね。
営業部門VP(コカイン中毒で有名)は何かにつけて私のこと「マーケティング嬢」と呼んで、「難しい仕事は男に任せろ」って言う嫌な奴でした。で、このメガとんまから唯一守ってくれるのが上司で、その上司からしてXanax(ソラナックス)、 Adderall(アンフェタミン)、その他もろもろのドラッグ買ってこいって言うんだから、終わってます。
CEOは権利剥奪された(=大損こいた)金融マンで、社員捕まえては羽振りが良かった過去の自慢話です。「今でも忘れられないよ…」と言うので聞き耳立てるじゃないですか。するとこう言うんです。「アジアの売春宿は…狂ってる。マジキチ。あまりにもビョーキ過ぎて、とても人前では口にできん」。いや、口にしてるからって叫びたい気分でしたよ。
そのCEO、一度全社集めてこう励ましたこともあります。「一生懸命働け」ば、「結果が出せる。で、今よりキックバック増えて、リラックスして、コカイン買って、ヨット買える。だってshit’s about to get cray(出典・カニエ・ウェスト。意味不明)なんだからさ」。いやホントの話。なんせアイディアだけはすごいものもってる(と思ってる)会社だったんです。
このスタートアップで唯一感心したのは、その厚かましさです。使い方さえ間違えなければ、なんか事を成していただろうにもったいない。創業チームは恥の欠片もない人たちで、VC(ベンチャー投資家)を騙す才能にかけては天才でした。バブル弾けても絶対優雅に暮らすだろうって思わせる人いるじゃないですか、それです。酒、違法ドラッグは当たり前、ベストの中のベストなんだからってね。ディカプリオの「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で驚いてたら甘い甘い。彼らはプロです。詐欺の至高のトリックをその目で見たかったら、真剣におすすめな会社です。
最後は「院に戻ります」ってことで円満退社しようとしました。そしたらオフィスにCEOが来てボロクソに言われました。こんないい職場もう二度と就職できない(…はあ?)、もう歳だし(まだ20代)、先ないでしょって言うんで、Bスクール(ビジネススクール)行くのよって言ったら、「そんな無駄なことするな」って言うんですね。
「世の中には良家の出のデキる男がいくらでもいる...女で苦労するのは目に見えてる。そういう業種で勝てるわけない。いいか、おまえみたいなバカ女にはこの金も力もある俺がいい知恵を授けてやる。悪いことは言わないから銀行の『接客』みたいなことやればいいんじゃないの?そういうルックスは彼ら好みだからね」って言ってました。何言いたかったのか未だに意味不明です。秘書か売春かその両方やれって?
あっそう、がんばってね、と言って去りました。
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残り30話も大体この調子です。ちなみに第2話は、最初の大型投資とりつけたらCEOが全社員集めて発表…する代わりに駐車場に連れていって買ったばかりのBMW M3自慢して3週間休みとったというホラー体験です。
Kaila Hale-Stern - Gizmodo US[原文]
(satomi)