手術というのは、必ずリスクがあるものです。
100%安全な手術なんてものはないわけで、それは人間のみで手術しようが、ロボットの手を借りて手術しようが同じこと。アメリカ食品医療品局(FDA)の最新データによれば、過去14年間にロボット手術中のマシンの不具合によって起きた死亡事故は144件にものぼるといいます。
イリノイ大学、マサチューセッツ工科大学、ラッシュ大学医療センターの研究員が、MAUDE (The Manufacturer and User Facility Device Experience)と呼ばれるFDAデータを調査。ここには、ロボット手術で起きたことが義務あるいはボランティアベースで記録され、レポートにある事象は、次のようなものがあります。
手術中にマシンが放電または火花がでたというもの、この件では2000年から2013年の間に193人の患者が火傷をおいました。部品の一部が壊れて患者の体内に落ちたというケースは100件、うち1件では死亡者がでました。制御不能の動きが起きたケースもあり、52人の患者がケガ、2人は死亡。レポートは起きた事故すべての詳細を明らかにしているわけではありませんが、それでもロボット手術の事故の60%は、何らかの不具合が原因にあります。
2000年から2013年の間に起きたロボット手術関連の死亡ケースは144件。2007年から2013年の間に行なわれたロボット手術の件数は170万件。このことから言えるのは、一定時期で考えた手術件数に対する事故の割合は、大きな変化がないということ。事故の件数は減少することなく、一定数起き続けているということです。これは、現場で問題が上手く解決しきれていないということではないでしょうか。
この調査では、ロボットを使用しない手術におけるさまざまな数字との比較はされていません。ゆえに、ロボット手術の危険性を訴えているわけではありません。しかし、ロボットを取り入れた手術に対して、より明確なレポートと分析の必要性を訴えてはいます。レポート制作者も「事故の調査とレポートを向上させていくこと、安全を第一としてテクノロジーをデザインすることは、将来的に事故減少につながる」と述べています。
source: arXiv via Technology Review
Jamie Condliffe - Gizmodo US[原文]
(そうこ)