リドリー・スコット監督で映画化決定!
今月、メキシコの重警備の刑務所から全長1.5kmのトンネルを伝って大脱走した麻薬王チャポ(ちびの意。本名ホアキン・グスマン・ロレア)。
世界最強の麻薬密売組織のひとつ「シナロア・カルテル」の首領の脱獄は人生2度目ですが、今回脱獄した刑務所は2001年に脱走した刑務所とまったく同じレイアウトで、狙い易いターゲットだったみたいですよ?
今月の脱出では、その抜け穴には見えない立派なトンネル(換気扇、照明、酸素ボンベ、足場、土砂運び出しの機材完備)が話題になりました。
それもそのはずで、チャポは暇さえあれば墨米国境で穴を掘り、ヘロイン、コカイン、合成麻薬を密輸して推定10億ドル(1240億円)もの財を成した人。トンネル掘りは、いわばシナロア・カルテルのお家芸なのです。
チャポは2014年に警察から脱走したときも、6つの民家を結ぶ複雑極まりないトンネルで逃げてます。
2001年の大脱走では洗濯物のカートに紛れて逃げたってことになってますが(内部証言では、警官の制服を着て正面玄関から大手を振って出ていったとされる)、あのときは共犯容疑で看守が何十人も処分されました。
その中のひとりで、当時監獄の警備長だったDámaso Lópezという男(後にシナロア・カルテル組員に転身)が、元の職場から持ちだした図面を使って今回の脱出を計画したのではないかと、捜査当局は見ています。
ウォール・ストリート・ジャーナルが伝えたところによると、チャボはちょうど脱走の数週間前の6月25日、アメリカに身柄の引き渡しを要求されていたようです。逃げるなら今だ、と思ったのでしょう。
初報を見逃したみなさまのために少し補足しますと…
当日の脱走ではチャポがシャワーに行ったきりなかなか出てこないので、看守がおかしいなーと思って様子を見にいったら、なんと! シャワー室の床に50cm四方の穴が開いていました。
10mのはしごを下りると、そこにはトンネルが。
脱獄でイメージするトンネルとはだいぶ趣が異なる穴
トンネルは高さ170cm、幅およそ76cm。電球が煌々と灯って足場を照らし、気分が悪くならないように換気も行き届いており、 脱走用バイクまで用意されていました。
「どういうシャワーだよ!」と、国連で国際犯罪組織と政府汚職問題など調べた実績のある著名人Edgardo Buscagliaさんはツイッターで泣いてましたが、まあ、内部に共犯者がいたんでしょうね。
現地では脱獄幇助の疑いで看守7人が逮捕され事情徴収を受けています。ちなみに前回逃げた刑務所同様、今回の刑務所でもチャポは「オーナー」と呼ばれていました。
映画の原作は「犬の力」の続編の最新作「ザ・カルテル」です。トンネル脱出の直前に出版された本なので、原作のままなら前回の脱出劇がメインとなります。ドン・ウィンズロウがチャポを10年以上調べて書いた超大作で、主演はレオナルド・ディカプリオに打診中との噂ですよ。
Top image via the Mexican Attorney General’s Office
source: LA Times, NYT, Hollywood Reporter
Kaila Hale-Stern - Gizmodo US[原文]
(satomi)