俳優で劇団文学座代表の加藤武(かとう・たけし)さんが7月31日死去した。86歳だった。東京都出身。同日夕、スポーツジムのサウナで倒れ、東京都内の病院で死亡が確認された。死因は不明。葬儀は親族のみで行う。後日、劇団葬を行うことを検討中という。
早大卒後、英語教師を経て1952年、文学座に入り、同年初舞台。「富島松五郎伝」などに出演後、小沢昭一氏が主宰した劇団「芸能座」で活動。80年に文学座に戻り、「ふるあめりかに袖はぬらさじ」など数々の舞台に立った。
映画では、黒澤明監督「悪い奴(やつ)ほどよく眠る」や市川崑監督「犬神家の一族」「悪魔の手鞠(まり)唄」などの名作に出演。近年も「釣りバカ日誌」で存在感を見せた。テレビでも、NHK大河ドラマなど時代劇からホームドラマまで、脇役に欠かせない俳優として活躍した。
昨年は文学座公演「夏の盛りの蝉(せみ)のように」で葛飾北斎を主演し、紀伊国屋演劇賞個人賞などを受賞。7月19日に東京・日本橋で開いた「語りの世界」が最後の仕事となった。