インターネット上の仮想通貨「ビットコイン(BTC)」の取引所を運営していた「マウントゴックス」(東京、破産手続き中)から大量のBTCが消失した問題で、BTC取引システムに開設された自分の口座を不正に操作し、米ドルの現金残高を100万ドル(約1億2400万円)水増ししたとして、警視庁捜査2課とサイバー犯罪対策課などは1日、私電磁的記録不正作出・同供用容疑でマウント社社長マルク・カルプレス容疑者(30)=フランス国籍、東京都豊島区東池袋=を逮捕した。カルプレス容疑者は「納得できない」と否認している。
世界最大級だったビットコイン取引所の破綻問題は刑事事件に発展した。資金が流用された疑いもあり、警視庁は業務上横領の疑いでも捜査を進めている。
逮捕容疑は2013年2月中旬、2回にわたり、パソコンから米国内のサーバーにあるBTCの交換業務取引システムに接続。同容疑者名義の口座に計100万ドルが入金された虚偽の情報を作り、残高を不正に増額させた疑い。
警視庁によると、現金のデータを操作する権限があったのは同容疑者だけで、逮捕容疑の他にも現金データを相当額改ざんしたとみられる。また、BTCの残高も水増ししていたという。
マウント社は11年に設立。取引量は一時世界の7割を占め世界最大規模だったが、昨年2月に経営破綻した。同社はサイバー攻撃などで約85万BTC(当時のレートで約114億円相当)と現金最大28億円が消失したと発表。約20万BTCが見つかったが、約65万BTCが不明になっている。
マウント社の顧客は約12万7000人で、大半が外国人で日本人は約1000人だったとされる。