ソニー・ピクチャーズ製映画「ピクセル」、中国にはかなり気をつかったようです

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先日アメリカで封切られたばかりの映画「ピクセル」。パックマンやインベーダーなど、往年の名作ゲームのキャラクターたちが現実に現れ、町で大暴れするというSFコメディー映画です。

しかし、この作品、中国の検閲をパスするために一部のシーンがカットされていたことが明らかになりました。

ロイターによると、ソニーは世界第2位の映画市場である中国で確実に上映してもらうために本作の手直しをしたとのこと。脚本から中国に関する部分を削除したり、エイリアンが万里の長城に穴をあけるシーンをカットしたりなど、中国から反感を買いかねない不安要素を取り除いていったそうです。

更に、ソニー・ピクチャーズ中国代表のリ・チョウ氏がソニーの重役たちに以下のようなメールを送っていたことがわかりました。

万里の長城を破壊するシーンは、あくまで世界中が侵略されていくシーンの1部でしかないので問題はないでしょう。ただ、中国で上映していく上でこのシーンの必要性をまったく感じなかったのでカットすることを勧めました。

また、エイリアン侵略の背後にいる真犯人は中国であるという描写や、メールサーバーをハッキングする「共産主義の共謀者」といった表現も映画から削除されました。

まぁ、つまり、最終的には中国への言及はきれいさっぱり映画から消されたということです。

ソニー・ピクチャーズ・リリーシング・インターナショナル社長のスティーブン・オデル氏は、メールの中でこう述べています。

中国に触れている部分を他の国の描写に差し替えることは比較的簡単なはずです。映画をそのままにしておくことにはデメリットしかありません。中国バージョンのみに手を加えたかのように見せかけてすべてのバージョンを変更した方がいいでしょう。また、ブロガーたちが中国バージョンの違いに気づいたときのための準備をしておく必要があります。


リークされたメールをもっと見ていくと、いかに中国で上映できないことがソニーにとって痛手なのかがわかってきます。

2014年の2月にやり取りされたと見られる「キャプテン・フィリップス」の予算についての討議の中で、中国での上映許可が下りなかったために期待していた興行収入が得られなかったことが述べられています。

その前年に、ソニー・ピクチャーズのワールドワイド・ディストリビューション会長のロリー・ブルアー氏は以下のように示唆していました。

現実問題、おそらく「キャプテン・フィリップス」は中国の検閲を通らないでしょう。アメリカの巨大な軍事力で1人の市民を救うシーンがありますが、中国ではこういうことを決してしないし、そうった考えを広めたくないと思うに違いありません。また、映画の政治的なトーンも彼らとっては居心地が悪いと思います。

…いやぁ、いろいろ大変ですね。

さて「ピクセル」ですが、そんな苦労の甲斐もあり無事中国での公開が決まったそうです。よかったよかった。日本でも9月に公開予定。どんな仕上がりになっているのかいろいろな意味で楽しみですね。


source: Reuters

Maddie Stone - Gizmodo US [原文]
(阿部慶次郎)