ヒップホップ界のイノベーター、RHYMESTER(ライムスター)へのインタビュー。前回はヒップホップシーンが拡大したターニングポイントや、アナログレコード2枚使いのDJスタイルに対するこだわりや魅力についての話を中心にお送りしました。
後半となる今回は、最近のトピックである音楽サブスクリプションサービスや、ニューアルバム「Bitter, Sweet & Beautiful」の話、そしてヒップホップを含めた音楽シーンの現在と未来についての話を中心にお送りします。
前回同様、RHYMESTERとギズモードが織りなすグルーブを楽しんでください!
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Mummy-Dさん(Rap / Total Direction / Produce)
ギズモード編集部(以下ギズ):最近、音楽のトピックスとして定額で聴き放題のサブスクリプションサービスがあります。日本でもLINE MUSICとAWA、Apple Musicが始まりました。音楽を届けている皆さんから見て、音楽の聴かれ方が変わると思うんです。それに対してどう思われますか?
Mummy-Dさん:いやー、たいへんなことだよ。超過渡期って感じで。どうなっちゃうの?っていう不安はあります。希望としては、ちょっとこの人たちもよく名前聞くから聴いてみようかなみたいなのが簡単にできるようになること。でもそれってもう、YouTubeでできてることじゃない。だって、YouTubeがもっとも対抗メディアとして戦わなければいけないところだと言っているみたいだし。音楽の価値って何?っていう。不安のほうが強い。
ギズ:例えば、自分たちの楽曲が今まで聴いてなかった方々に届けやすくなったという感覚はあまりないですか?
Mummy-Dさん:ちょっとでも興味があればYouTubeで聴けちゃうから、そういう意味では一緒じゃない? 自分がそれをやってみるかどうかわからないけど。
DJ JINさん(DJ / Produce)
DJ JINさん:自分は音楽に関わってるし、パッケージのほうが好きなんで買ったりしますけど。それこそうちの父親と飲みに行って、その飲み屋の常連のおじさんと話してて。「おおRHYMESTERね、聴かしてもらったよYouTubeで」って(笑)そう言われたとき、ありがとうございますって言うんだけれども、まあそういうもんだよなっていう。その辺ですよね。
宇多丸さん:でもさ、CDや曲のデータをみんな買うのが音楽を享受するメインの方法であるというのが、正しいというのはどうなんだろう。昔はラジオから流れてきたのを聴いてたよとかさ。まあ、だからそういうサービスはデフォルトじゃねっていうか。
ギズ:とっかかりとしてはそうかもしれませんね。
宇多丸さん:グロス商売は、ちょっと違和感もあるけれども、お金払ってる分、ラジオで聴いたりYouTubeで聴くよりかは潤ってるし。コピーを買いすぎてたんじゃないかな。
Mummy-Dさん:コピーを買いすぎ?
宇多丸さん:うん。要するにポップミュージックというか大衆音楽の歴史上、レコードとかCDを買う時代が特殊だったんじゃないのかなという。やっぱり基本消費していくものなのに、買うって効率悪いし。そう感じる。
作り手としては複雑な思いもあるけど、ポップミュージックって、本来その程度のものとして機能していくもの、というのも事実だと思うしさ。だからその上で、これは残したい、これはとっておきたいみたいなものを買うっていう。映画で言えば、月額いくらで見放題というのは、映画のほうが先じゃない。そうすると、ソフトをわざわざ買う、わざわざ映画館に行く、音楽でいえばライブに行くのはファン行為で。いろいろ見た中で、これには金出そうかなっていうのは自然なのかもなって思います。
すごい俺は買うから、もっとみんなこういう風にやればいいのになと思うけど。映画だとね、そういうサービスで見るけれども、そこにあるものばっかりじゃないから、こりゃないんだなとか、時々固まるなとか(笑)そういうのがあったりして、これはいいから買おうとか。マンガとかもね。どうせ満喫にあるからなとかさ。そういう考え方になってきたりして。
Mummy-Dさん:読み返すものは買うよね。
宇多丸さん:まあ結局はそうなっちゃうっていうか。
ギズ:複雑っていう感じですかね。
宇多丸さん:享受する側はYouTubeで軽くチェックしてわかった気になるということもやってるし、俺も。
Mummy-Dさん:やってるやってる。
ギズ:気になるアーティストはYouTubeで探しますもんね。
宇多丸さん:それは試聴感覚っていうか、その上でやっぱいいと思えば買うし、とかね。
Mummy-Dさん:いちいちYouTube検索するのも面倒くさいしみたいな。
宇多丸さん:どうだろうね。難しいね。
宇多丸さん(Rap)
ギズ:音楽が消費物になってしまうのはどうなのかっていうのは思っているんです。
宇多丸さん:もともと消費物なんだと思うんですよ。
ギズ:僕もそうは思うんですけど、所有する喜びはあったわけです。CDなりレコードなりを買ってくるという。その行為がなくなっちゃうのは寂しいかなと思ってるんですよね。
宇多丸さん:僕ね、うちにCDラックというかCD棚があるんです。で、データはデータでPCにあるじゃない。部屋を掃除とかしてて、きれいになって気持ちいいなって思って。でもここに巨大なCD棚があるわけ。それを取り出してプレーヤーに入れるという行為はもうしないわけじゃん。
Mummy-Dさん:しないねー。
宇多丸さん:と思って、この巨大なスペースを占めているCD棚を見ると、なんか憎々しくなってくる(笑)お前らちょっと場所占めすぎなんじゃないのかと。
Mummy-Dさん:そんなこといったらアナログレコードどうなっちゃうんだよ。
宇多丸さん:やっぱりものとして、CDは色気がない。アナログレコードはやっぱり、所有するならっていうのがあるじゃない。半端なのよ、CDは。
Mummy-Dさん:CDは、テカテカしてるもんね(笑)
宇多丸さん:これからCDを出そうとしているのに(笑)そのCDをものとしてかわいく見えるように、アートワークとかも考えて。昔はアルバムのサイズ感でアートワークを考えて、それがそのままCD化されていて、なんだよってなってるけど。
今回のアルバムはCDサイズ前提のアートワークだったりするじゃない。だから、そういう意味で進化もしているんだと思うし、もの的にこれは捨てたくないなという。プラスチックケースでさ、どこで入ったかわからないけれど、斜めに割れ傷みたいなのが入っちゃってると(笑)、中身しか用ないかなみたいになってさ。外のプラスチックケースは捨てて、ソフトケースに移し替えてる。ちょっと場所取り過ぎだろうと。
ギズ:CDは無機質な感じがしますよね。
宇多丸さん:記録メディア。しかもすごくメディアとして性能が低いくせに、みたいな記録メディア(笑)これからCD出す人が(笑)だめだめ。
ニューアルバム「Bitter,Sweet & Beautiful」アートワーク
ギズ:新作のお話を伺っていこうかなと思うんですが。いよいよ出るわけなんですけれど、まずはどういうアルバムなのか教えてください。
宇多丸さん:それこそ、今の質問の流れで言うと、月額でガンとお金払って、好きな曲だけつまみ食いするという時代に対して、いや、通しで聞いたほうがいい作品もあるっていうつもりでは作ってる。
ちゃんと1個のパッケージの作品として最初から最後まで通しで聞いてもらったほうが絶対にいいし、俺らの意図がちゃんと伝わりますよということを、アルバムの作りとしてこれでもかと強調しているので。
ギズ:結構曲順であるとかトピックであるとかも、この全体のアルバムのストーリーのために、このパーツのトピックが必要だねっていう風に作られているんですか?
Mummy-Dさん:結構そういう曲もある。昔より確実にそういう風になってきているかな。
ギズ:自由に作るというよりは、必要なものを考えて、自分たちではめていくような作り方。
Mummy-Dさん:そうですね。全部がパズル的にはめて、このピースがないなって作るわけじゃないんだけど。でもさすがにフルアルバム10枚目で、20何年もラップばっかりやってて、いきなり若いときみたいにポンポンポンポン歌いたいことがその辺に転がっているわけじゃないから、ある程度アルバムのこんなことを歌おうとか、こんなカラーにしようと決めてから、それに沿った感じで作っていくほうが。制約を設けて作っていく感じですね最近は。
ギズ:最初の方向性であるとかコンセプトは、どういう風に決めてらっしゃるんですか?
宇多丸さん:やっぱり最初に方向を決めてかな。最初はアルバムを作ろうとか、純粋な音楽はどんなのがイケてる感じみたいなのとか。具体的に曲っていうよりは、純粋にトピックっていうか、今強く思っていることは何かとか、そういうところから始めて。じゃあそういう音楽像でこういうことを歌う感じみたいな、その組み合わせが多い感じ。
まずはCD出っ来ング。到着しました。ライムスターのニューアルバム「Bitter, Sweet & Beautiful」。7/29リリース。アルバム通しで聴くと尚のことドスンとくる仕上がりかと。よろしくお願いいたします。 pic.twitter.com/wSDTiLYI83
— DJ JIN (@_DJ_JIN_) 2015, 7月 17
DJ JINさんのツイート。アルバム通しで聴くと尚のことドスンとくる仕上がりだと。
ギズ:具体的に今回のアルバムに関しては、どんな内容になっているんですか?
Mummy-Dさん:今回のアルバムはね、今宇多さんが言った感じで言うならば、音的なアイディアはちょっと大人のヒップホップじゃないけれど、あんまりアゲ曲とか多くなくて。なんというのかなー、メロウネスを追求してみようかみたいなところが1個あったね。
ヒップホップのおもちゃっぽいノイズっぽいおもしろさっていうより、もうちょっと音楽的に洗練されたものとかやってみようかっていうアイディアが最初にあったので。それは前のアルバムがそれの真逆だったからというのもあると思うんだけど。
その一方で、歌いたいこととして最近どんなこと考えているって話した中で、ヘイトスピーチとかやだよなほんとにとか、いろんな共通する気持ちとか、そのへんから出てきて。今こういう時代でなんかみんながお互いを許容しあえなくなっているところがあるよねっていう話をしてて。
そんな中から、ビューティフル、美しく生きようとすることは大事なんじゃないかなみたいな。真面目な話だけど。そういうサブジェクトのアイディアがまたこっちであって。それをくっつけてみようかみたいな、そんな進み方ですね、今回は。
ギズ:コンセプトができあがってから、次にアルバムの核になるような曲であるとかシングルになる曲を作られると思うんですけど、今回に関しては、どの曲がアルバムの核を担っている曲ですか?
宇多丸さん:最初は手探りじゃない? こう言ってたからこういう曲を作ってみた。こういう曲も作ってみた。で、何個か並べたときに、なんとなく全体像チックなものが見えてくる。これがアルバムの序盤だとして、ということはこういうストーリーのアルバムなんじゃないかとか。自分たちの作っているものが、だんだん途中から自分たちでも見えてくるという感じない?
Mummy-Dさん:そうね。
宇多丸さん:あ、こういうもの作ってたんだみたいな。で、あ、よく出来てるぞこれみたいな。その方向で向けて作ってるんだからそりゃそうなんだけど、ほんとにそうなってるみたいな。
ギズ:例えば、一番アルバムの姿を投影した曲は、むしろできあがったあとに実はこれだと気付くパターンというか。
宇多丸さん:そうそう、実はこれがみたいな。「人間交差点」(※1)だってさ、単純にフェスに向けて作って。ファンクトラックだけどちょっとアダルトテイストみたいな、今回の線には沿ってるんだけど。そこでアルバムの中に置いてみる。できあがってそのアルバムに入れるとなると、この曲意外とクライマックスかもよみたいな。やっぱできあがってみると超重要な曲じゃんみたいな。
ニューアルバム「Bitter,Sweet & Beautiful」収録曲「人間交差点」Music Video
ギズ:作っている間に見えてくるというのが、ご本人の感覚としては強いんですかね。
Mummy-Dさん:そうですね。ほんとは最初に見えちゃうのが一番気持ちいいんだけど。最初にリード用に見えた楽曲がポーンとアルバム全体を表しているなとなると、その後すごい早いんだけど。今回はそういうタイプのアルバムじゃなかったっぽいかな。後から気付いた感じ。
前回の「ダーティーサイエンス」(※2)ってアルバムのときは、「The Choice Is Yours」(※3)という曲ができたときに、これは見えたなという感じがしたんだけど。今回は、結果的に「Still Changing」(※4)がオープニングで、やっぱ締めの辺りに「人間交差点」があるから、あのときに実はできてたんだなと。後からそんな感じがしてるアルバムですね。
ニューアルバム「Bitter,Sweet & Beautiful」収録曲「Still Changing」Music Video
ギズ:先に「Still Changing」と「人間交差点」というシングルを出されたじゃないですか。それは、アルバムのことを見据えて決めたのですか?
Mummy-Dさん:いや、見据えてないよね。あの2曲以外にも、リードシングル用にこれでもかこれでもかって作った曲はあるし。どっちかというと今回は結果的にっていう感じですね。
宇多丸さん:「The Choice Is Yours」は、前のアルバムで言おうとしていたことの結論というか出口になるなって感じだったから。ラストシーンが見えてたから。
今回のアルバムのテーマである「酸いも甘いも受け入れて生きられないの」みたいな話って、結論出るみたいな話じゃないから、多分ラストシーンが難しいんだけど、「人間交差点」で行っちゃおうと。ずっとその方向で物事を考えてたんだから、あれがそうなるのも当たり前っちゃ当たり前なんだけれども。
「人間交差点」ってタイトルは、もちろん弘兼先生の漫画で有名なんだけど、フェスのタイトルを考えていてパッと浮かんだ言葉だから、そこはマジックなところというか。「そういえば人間交差点で全部解決だ」みたいな(笑)
ギズ:答えみたいな曲なんですね。
宇多丸さん:酸いも甘いも全部含んでいても、うまく回ってるときもあるじゃないかという。
ギズ:素朴な疑問なのですが、曲を作るときに曲が先なのか詞が先なのか、どちらなんですか?
Mummy-Dさん:99.9%、それは言いすぎかな、90%、95%トラック先だと思いますよ。
宇多丸さん:詞先がなくはない。そのラッパーがあるグルーブを想定して書いている場合はあるかもしれません。
Mummy-Dさん:テーマはあらかじめあるかもしれないけれど。
宇多丸さん:詞先っていうと、だいたいね詞がボーンってあってそれに曲をあてていくという。先に詞があることもなくはないですけど、今はビートが複雑化しているんで。これとこれをなんとなく組み合わせて合うっていうことは、あんまりないんじゃないかな。
ギズ:まずDJ JINさんがトラックを作って。
DJ JINさん:自分だけじゃなくて外部のプロデューサーの方とかMummy-Dも一緒に作って。いろいろバックトラックがあって、テーマもいろいろあって。それを組み合わせていって。
ギズ:いわゆるバンドサウンドとは作り方違う感じですね。
Mummy-Dさん:全然違いますよ。まずその詞が先かメロが先かみたいな話でいくと、メロ的なものは詞と同時に作ってるんですよ。言葉にくっついてくる上げ下げでできてくることが多いから、詞が先かメロが先かというよりは、ビートが先か。
宇多丸さん:歌以外のものが先か(笑)
Mummy-Dさん:全然ビートが先。非常に複雑化しているので、今は。ドラムパターンとかもいろんな種類が出ているから、それを聞いてからじゃないとそれにあった歌詞が書けないんですよね。
ギズ:どんな言葉が出てくるかは、トラックを聞かないとわからないところもあるわけですね。
Mummy-Dさん:それに合った譜割りじゃなくなっちゃうから。
宇多丸さん:ビートの速さもバリエーション広いし、ポリリズム化してるから。
Mummy-Dさん:だから、最初は作るというよりは、ビートを買ってくるという。そこがすごく違うと思う。
ギズ:音ネタが必要という。
Mummy-Dさん:最初は買ってくるの。
宇多丸さん:海外のラッパーでも、ビートをいっぱい提出させて(笑)、コンペしてるわけですよ。で、スタジオとかで聞いて「これ」みたいな。
Mummy-Dさん:非常に違う、入り口が違う。
ギズ:なんとなく、ラップって言葉が先なのかなと勝手に思ってたんですけど。
宇多丸さん:それもおもしろいですね。
Mummy-Dさん:言いたいことは先にあるんですよね。それをどんなビートに乗っけるかみたいな世界だから。いきなり、アコギ持ってコードとか探りながらのっけていくみたいなこととは違う。それはできなくはないと思うんだけど。
宇多丸さん:ラップしてビートを作ることはあるかもね。
Mummy-Dさん:それにあとからドラムを乗っけていく、アレンジをしていくみたいな、普通の音楽に近い作り方もできなくはないと思いますけど。俺らは、楽器できないからそういうタイプじゃないですね。
ニューアルバム「Bitter,Sweet & Beautiful」収録曲「ガラパゴス」Music Video
ギズ:Mummy-Dさんはご自身でトラックも作ると思うんですけど、自分が先にテーマとか言葉が浮かんだ上に、この言葉を乗っけたいからこのトラックを自分で作るみたいな作り方はしないんですか?
Mummy-Dさん:あー、計画出産(笑)それはねー、やるんですけど、計画出産はあんまりマジック起こんないです。自分の最初のイメージを超えない。今回もいろいろやってみたんですけど。メロウネスとか音楽的な感じのオケを作んなきゃと思って、作ってみたらうちのメンバーとか気に入ってたんだけど、これにそういうタイプの歌詞が乗った、自分の声が乗ったというのが想像できすぎちゃって。自分の持っているグルーブで作ったオケに、自分のグルーブのラップが乗るみたいなのが、もう。
宇多丸さん:だからあんな乗り気じゃなかったのか(笑)全然いいじゃんみたいな感じなんだけど、あのトラックは?みたいに振っても鈍い反応しかなくて(笑)
Mummy-Dさん:それよりは、人の持っているリズム感とか、コード感とかに乗っかってたときのほうが、あれこんなことなっちゃったという、事故が起きやすいみたいな感じが好きですね。
ギズ:ヒップホップでグループが多いのはそういうところなんですかね。
Mummy-Dさん:それはそうかもしれないね。
宇多丸さん:今はソロラッパー主流ですけど、基本的に出会いはもらってくる感じですよね。買ってくるけど、オーダーメイドもあるじゃない。「こういうの作って」というのもあるじゃない。
Mummy-Dさん:作ってならまだいいんだけどね。
ギズ:自分でやっちゃうと。
Mummy-Dさん:自分でやるとなると、うーん。
ギズ:普通のミュージシャンだと自分で全部やりたがったりすることも多いじゃないですか。プロデュースまで含めてとか。
宇多丸さん:コントロールフリークタイプじゃない。グループでやってるくらいだからそうなんだけど。
ギズ:偶然の産物みたいな感じで、これとこれがぶつかったときがおもしろいよみたいな。
Mummy-Dさん:相変わらず事故頼みみたいなところはありますね。
ギズ:事故が何回も何回も起こっているから、ヒップホップがここまでおもしろくなったという感じですね。今日はありがとうございました。
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音楽サブスクリプションサービスが始まり、気軽に大量の音楽が楽しめる時代がやってきました。誰もが手軽に気になる音楽が聴ける反面、アルバムという単位で音楽を聴くという習慣が薄れてしまう可能性があります。
しかし、RHYMESTERのニューアルバム「Bitter, Sweet & Beautiful」について宇多丸さんは
1個のパッケージの作品として最初から最後まで通しで聞いてもらったほうが絶対にいい
と断言しています。曲それぞれが持つ魅力が、アルバム全体を通して聴いたときにさらに増幅され、もう一度通して聴きたくなる。かつてレコードやCDを買って、プレーヤーにセットして聴く、あの喜びを取り戻せるアルバムであることは間違いありません。
日本のヒップホップの中心であり先頭であるRHYMESTERは、アナログレコード2枚使いのようなクラシカルなフォーマットを守りつつ、一般層でも楽しめるように、ヒップホップイディオムを排除し一般的な日本語でラップをするなど、ヒップホップの継承者でありイノベーターです。
「Bitter, Sweet & Beautiful」を手に入れた方は、まず1曲目から通して聴いてみてください。曲単位で聴いたときとは違う、RHYMESTERのメッセージが見えるはずです。
今回はお忙しい中、音楽専門メディアではないギズモードのインタビューに快く応じてくださったRHYMESTERのお三方に、最大の感謝を捧げます。
最後に。
インタビューを始めるときに、Mummy-Dさんが「ギズモード知ってるよ。おもしろいよねー」とおっしゃってくださいました! 今後とも何卒よろしくお願いいたします!!
アーティスト:RHYMESTER(ライムスター)
タイトル:Bitter, Sweet & Beautiful
レーベル:starplayers Records / Victor Entertainment
リリース日:7月29日(水)
収録曲
1. Beautiful - Intro Produced by DJ JIN, SWING-O
2. フットステップス・イン・ザ・ダーク Produced by PUNPEE
3. Still Changing Produced by BACHLOGIC
4. Kids In The Park feat. PUNPEE Produced by PUNPEE
5. ペインキラー Produced by KREVA
6. Beautiful - Interlude Produced by DJ JIN, SWING-O
7. SOMINSAI feat. PUNPEE Produced by PUNPEE
8. モノンクル Produced by PUNPEE
9. ガラパゴス Produced by BACHLOGIC
10. The X-Day Produced by Mr. Drunk
11. Beautiful Produced by DJ JIN, SWING-O
12. 人間交差点 Produced by DJ JIN
13. サイレント・ナイト Produced by PUNPEE
14. マイクロフォン Produced by BACHLOGIC
正しさを見つけることすら困難な時代を駆け抜ける、さながら壮大なヒップホップ・シンフォニー
ライムスター史上最多公演全国ツアー「KING OF STAGE VOL. 12 Bitter, Sweet & Beautiful Release Tour 2015」開催決定! ただいまチケット先行発売受付中。詳しくはライムスターHPで。
※2 2013年1月発売の8枚目のアルバム。上へ戻る
※3 2013年8月発売の12枚目のシングル。「ダーティーサイエンス」の12曲目にも収録されている。上へ戻る
※4 2015年4月発売の13枚目のシングル。「人間交差点」との両A面。ニューアルバム「Bitter,Sweet & Beautiful」の3曲目にも収録されている。上へ戻る
source: RHYMESTER(ライムスター)
(三浦一紀)