12月12日より全国公開される山田洋次監督の映画「母と暮せば」の劇中音楽を坂本龍一が手がけたことが明らかになった。
「母と暮せば」は山田監督の83作目となる最新作で、吉永小百合が主演を務め、彼女の息子役を二宮和也が担当。長崎への原爆投下から3年後、吉永演じる助産婦の伸子の元に原爆で亡くなったはずの息子・浩二が現れ、2人がさまざまな思い出話をしながら日々を過ごす様子を描いたファンタジー作となっている。
昨年より病気療養中だった坂本にとって、今回の劇中音楽は復帰を飾る作品。映画の企画が立ち上がった直後の昨年4月、坂本ともともと親交があった吉永が山田監督とともに坂本のコンサートを鑑賞したことがきっかけとなり、今回のコラボレーションが実現した。坂本が山田監督の作品で音楽を担当するのは今回が初となる。
山田監督が手がけた「男はつらいよ」シリーズのファンだったという坂本は「この二人に何かを頼まれて断れる日本人がいるでしょうか」「このような大作が、病気からの復帰後第一弾の仕事なのですから、ぼくは本当に幸せ者です」とコメント。また、山田監督も「坂本龍一さんと組んで仕事をするのは長年の夢でした」、吉永も「嬉しくて嬉しくて舞い上がっています」と喜びを語っている。
「寅さん」映画は、歳をとるほどに味わい深く感じられます。最近などはタイトルバックの江戸川が見えるだけで、涙目になってしまいます。もう帰ってくることのない昭和の日本への郷愁でしょうか。小津安二郎や成瀬巳喜男の映画にも共通のものを感じます。その山田洋次監督から、次回作の音楽を頼まれました。しかも吉永小百合さんが同席しています。この二人に何かを頼まれて断れる日本人がいるでしょうか。そして内容は井上ひさしさんの「父と暮せば」へのオマージュとして呼応するように、長崎が舞台となっています。核のない世界を望んでいるぼくとしては、これはやるしかありません。このような大作が、病気からの復帰後第一弾の仕事なのですから、ぼくは本当に幸せ者です。
「母と暮せば」の企画を発想したとき先ずぼくの念頭にあったのは、主役は吉永小百合、音楽は坂本龍一、このお二人しか考えられないということでした。最初に吉永さんの承諾を得てそのあと、彼女と二人でコンサート中の坂本龍一さんの楽屋に押しかけ口づてで企画を話しました。彼の口から快い承諾の返事を聞いたときは本当に嬉しかったものです。坂本龍一さんと組んで仕事をするのは長年の夢でした。ぼくの頭の中にはすでに坂本龍一の美しい音楽が鳴り始めています。
昨年の四月、山田監督とご一緒に坂本さんのコンサートに伺いました。
坂本さんが「母と暮せば」の音楽を創って下さることになって、嬉しくて嬉しくて舞い上がっています。