下水油のタンクが大爆発、ディーゼル油に精錬する「希望の工場」・・・中国メディア「太陽に照らされたからか」 | ニコニコニュース

サーチナ

 これから中国が歩むべき道の「模範のひとつ」として期待されている企業がある。江蘇省常州市の武澄工業パークにある、悦達〓特新能源有限公司(以下、カート・ニュー・エナジー)だ。同社工場の複数の原料タンクが7月31日午後0時50分ごろ、爆発した。(〓は「上」の下側にある左から右の画を共用させて「下」を書く)

 世界の人々が瞠目する経済の高度成長を実現した中国だが、その反面では悩みも深い。環境汚染、「石油がぶ飲み、石炭爆食い」状態のエネルギー効率の悪さ。商道徳は地に落ち、下水にたまった油を精製して「食用油」として売り出す業者もいる。

 カート・ニュー・エナジーの主力商品は、油採集用の作物や微生物、さらに飲食店からの廃棄物を利用して製造した燃料油、いわゆるバイオ・ディーゼル燃料だ。同社は公式サイトで「下水油の総合的な解決方策」と強調し、江蘇省政府の品質検査にも合格した製品と誇らしげに謳っている。

 その「希望の工場」が爆発した。中国紙の現代快報は、同社作業員の女性を取材。爆発が発生した時には作業棟で仕事をしていた。建物南側からいきなり「ドーン」という、耳をつんざくばかりの大きな音が伝わって来た。続けて、建物が猛烈な勢いで揺れた。天井が崩れ落ちてくるような揺れだったという。

 作業員らは慌てふためき、建物の外に逃げた。外に出てしばらくして、タンクの爆発と分かった。建物から逃げ出した作業員は300人ほどだったという。

 爆発したタンクは少なくとも3基あったことが分かった。まずメタノールのタンクが爆発し、次に原料となる「下水油」のタンクと、過酸化水素のタンクが爆発した可能性が高いという。

 現地では猛暑が続いている。同爆発を報じた現代快報は、「タンクが陽光にさらされて膨張して爆発した」との現地での見方を見出しにした。

 中国では猛暑という気象条件が、爆発などの事故の原因との言い方がされる場合が多い。夏になれば毎年、当然に予想される猛暑だが、「猛暑でも安全は確保されなければならない」との発想は、報道を見るかぎり乏しいようだ。

 江蘇省の情報を中心に報じるニュースサイトの鳳凰江蘇は、一般読者がインターネットに投稿した写真も紹介した。工場から1、2キロメートル離れた自宅にいたが、爆発の衝撃で建物全体が揺れたという。

 爆発現場の上には、高さ20-30メートルはあると思われる「火の柱」出現した。急速に黒煙と化し、風のない夏の盛りの空にのぼっていった。タンクは激しく燃え続けた。同サイトは見出しで「油精製工場のタンクが大爆発」と表現した。

 しばらくして消防車が続々と、サイレンの音を響かせて現場に向っていったという。消火作業は順調で、午後2時ごろには鎮火に成功した。

 カート・ニュー・エナジーは2014年4月、国有大型企業の江蘇悦達集団の傘下企業として設立された。同社説明によると代替エネルギー源、生物由来エネルギー源を生みだす、研究開発・生産・販売一体型のハイテク企業で、自動生産ラインにより下水油、酸化油、残飯中の油など年間21万トンを処理し、バイオ・ディーゼル燃料として出荷する能力がある。

 現地当局によると、同爆発で死傷者は出なかった。(編集担当:如月隼人)(写真は鳳凰江蘇の上記記事掲載頁キャプチャー)