暴力的な活動で知られる国際反捕鯨団体「シー・シェパード」。調査捕鯨船への妨害や侵入などの過激な行動で、日本でも悪名を轟かせている。そんな彼らが、従来とは一風変わった切り口で反捕鯨を訴え始めたことで注目を集めているようだ。まずは、シー・シェパードが今月28日に公開した「The Ultimate Death Scene(究極の死の光景)」と題された動画をご覧いただこう。
【動画はこちらから→http://tocana.jp/2015/07/post_6952.html】
暗いステージの上で足踏みをする、1人の中年男性。すると彼は、しきりに背後を気にし始める。やがて何かに追われるように、男性の足取りは速くなる――と次の瞬間、彼の背中に激痛が走った。その場に倒れ込んだ男性の背中からは、白いTシャツを真っ赤に染める鮮血が。自らが刺されたことを悟り、戦慄する男性。口元からも血が流れている。すると今度は、突然後ろへと足を引っ張られてしまう。床に爪を立てて抗うも、男性の傷は致命的だった。彼は仰向けとなり、苦しみに悶えながら息絶える。
シー・シェパードによると、このショッキングな映像は、捕獲されるクジラの苦しみを人間に置き換えたものだという。追い込まれて疲弊し、銛(もり)で致命傷を受け、荒々しく船上に引き揚げられ、そして苦しみながら息絶える、という捕鯨のプロセスをオーストラリア人俳優のデイビッド・フィールド氏が表現したとのこと。シー・シェパードの広報担当アダム・バーリング氏は、
「この映像が議論のキッカケとなり、捕鯨の終焉へとつながればよい」
「これを見て、もしも人々が戦慄を覚えるならば、捕鯨にも同様に戦慄を覚えるべきだ」
「このように残酷で冷血な行為の被害者が人間であれば、加害者はすぐに牢にブチ込まれるだろう」
「たしかにショッキングな映像だ。しかし、(捕鯨の現場で)起きていることの恐ろしさを伝えたいのだ。私たちはそれを直接目にしてきた。今回、デイビッドは見事に演じてくれた」
と7月29日付け英紙「The Daily Mail」に語っている。どうやらシー・シェパード側は、動画が大反響を呼んでいることに概ね満足している模様。しかし彼らの理屈が通るならば、食用として殺される豚や牛などの死も、人間の死に置き換える必要が出てきそうなものだが......。なぜ、クジラの死を人間の死に置き換えることができるのか、彼らは一言も説明していない。
※画像は「YouTube」より引用