安保法制に反対するデモが全国各地で開かれ、多くの大学生も参加している。政治活動を行う学生たちに対し「就職活動で不利になる」といった言葉も一部で囁かれているが、こうした考えに対してジャーナリストの津田大介さんがツイッターで語った内容が、ネット上で話題となっている。
津田さんは最近のメルマガでデモと就職について言及。そして7月27日、ツイッターでフォロワーからメルマガの感想を寄せられると、こうツイートした。
ネットで炎上「就職は厳しいと言っているようなものだろ」「デモしてる若者に『就職できなくなるぜ』と言うのは一見彼らのこと考えているようでいてバカにしかしていない筋の悪い脅しだよな。就職なんてどうにでもなる(俺は就活全滅したけど何とか生きてる)し、そんな人にこそ森毅さんのこの言葉を贈りたいね」
森毅氏は、京都大学の名物教授だった数学者。津田さんによると森氏は生前、以下の様な人生訓を語っていたという。
「高校受験に失敗したら、大学受験で取り戻せばいい。大学受験で失敗したら、就職で取り戻せばいい。就職で失敗したら、人生で取り戻せばいい。意外と何とかなるよ」
津田さんとしては将来を心配する若者に、就活できなくても大丈夫であることを伝えたかったのだろう。しかし「デモと就職」という文脈で出たツイートだったので、2ちゃんねるなどで炎上する事態になった。
「これ、つまりは『もう就職は厳しい』って言ってるようなものだろw」
「結局なんとかなる。おれは何とかなったしとしか言ってない」
普段炎上に慣れている津田さんもこれには「就職ネタは変な方向に話が広がりがちだな……」と困惑。改めて自分の真意を説明した。
批判に反論「世の中にどれだけ会社あると思ってるんですか?」そもそも、新卒で就職できるか否かは「不安定な時代においてはさほど大きな意味はない」と指摘。その上で前出のツイートは、デモに参加すると就活に悪影響があるという趣旨ではなく、「就活なんてそもそも理不尽なものだから落ちたところで気にするなよというエール」だったと説明する。
ちなみに津田さん自身は、在学中にデモに参加したことはないという。だが、デモに参加すると就職できなくなる、という考え方に対しては疑問を呈する。
「トータルで見れば就活に悪影響なんて出ませんよ。世の中にどれだけ会社あると思ってるんですか?」
確かに企業の中には、従業員が政治活動を行うのを快く思わない会社もあるかもしれない。しかし今の就職活動では、何十社もエントリーするのが普通。仮にデモへの参加が企業に知られ、それが原因で落とす企業があったとしても、また別の企業を受ければいいともいえる。
落ちたとしても「イエスマンしか求めてない会社に入らずにすむ」さらに津田さんは、政治活動をすることで落ちたとしても、それは決して悪いこととはいえないとする。
「兵隊・イエスマンしか求めていないであろう会社に入らずに済むので、むしろ自分の主張をはっきり述べることにはメリットもあるかもしれませんね」
デモに参加する人が個人の主義主張を封じ込める会社に就職したとしても、結果として不幸になるだけだ。それなら最初の時点で落ちた方がいい、ということなのだろう。
津田さんのこうした一連のツイートに対し、10年ほど人事で新卒採用をやっていたという人からは「犯罪ならいざ知らず、社会的デモなら感心こそすれ、マイナス評価なんてありえません」というツイートも寄せられていた。
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