いや、もちろん意味あるんです。でもなかなか上手くなる感じがしない。基礎と応用の架け橋が見えにくいというか、なんというか・・・。「とりあえず書け、書けばどんどん文章が上手くなる」なんて言われたことありませんか? 僕だけ?
ゲームデザイナーの育成も同じです。属人性が強く、会社ごとの違いも大きいこともあり、(日本では)体系的に教えられていない。企業の採用枠も少なく、社内育成もOJTが中心。そのうえ大作志向が進んでいて、若手がゲームを丸ごとデザインする機会に乏しい・・・。いやー辛い、辛いなあ。
「ワンダと巨像」「魔神と失われた王国」などのゲーム開発にゲームデザイナーとして参加し、現在はゲームエンジンのUnityを用いて、さまざまな研究活動を行っている簗瀬。そんな簗瀬は「ゲームとは何か」「デジタルゲームとは何か」「遊びとは何か」といった根源的な問いを、常に考え続けていくことが重要だと指摘します。
いや、実際Unityのようなゲームエンジンを使うと、「ゲームっぽい」画面やインタラクションが簡単に作れちゃうんです。でも、企画がしょぼい(=ゲームデザインに不備がある)から遊んでもつまらない。学校の先生も(多くの場合)無意味な駄目出ししかできない。ホントに良くある光景なんですよ。
もちろん世の中には優れた遊びの古典的研究が存在します。しかしコンピュータもインターネットもなかった時代と今とでは状況が異なる。そうした先人の研究を調べたうえで、それが本当なのか、今でも適用できるのか、なぜそうなっているのか考え続ける姿勢が、ゲームデザイナーには重要だと語りました。
続いて登場したのが、簗瀬がUnityで自作したドライブゲーム「TRUCK RACE」。ゲームを遊びながら「ゲームの概要」「ゲームのルール」「ゲーム中の工夫」について分析し、グループごとに考えをまとめるように指示が出されました。ボールを使った話し合いで場がなごんでいたことや、ゲーム自体のおもしろさも相まって、会場はすぐにワイワイ、ガヤガヤ。発表ではどのグループも深いレベルまで分析が重ねられていました。
簗瀬は「おもしろいゲームはさまざまな要素が高度に絡み合って成立しているが、ただ遊んでいるだけでは、なかなか気づかない」と言います。しかし、おもしろいゲームを作るためには、既存ゲームの正しい分析と考察が不可欠。そのために必要なのが自分の引き出し、すなわちゲームデザインに対する知識や経験であり、遊びについて考察を深める姿勢です。参加者にとって、良い学びの機会になったようでした。
ただ基礎って正直つまんないんですよ。あんまり身になっている感じがしない。キャッチボールより早く試合がしたい。ゲーム専門学校の企画コースには「企画の中身については教えずに、企画書の書き方やツールの使い方だけ教えて、卒業させている」なんて批判もありますが、わからないでもないんですよね。
もっとも馬場いわく「基礎でも楽しめないとダメ」と一刀両断。たしかに本ワークショップでは「TRUCK RACE」効果もあり、みな楽しんで議論をしていました。ちなみに簗瀬はUnityの勉強も兼ねて、本ゲームの制作に約4日(20時間)かけたとか。この姿勢、見習いたいところではないでしょうか。
なお第3回は8月24日に元「ことばのパズル もじぴったん」シリーズのディレクター・プロデューサーで、神奈川工科大学の中村隆之先生を迎えて実施されます。申込締切は8月16日まで。