7月31日、東京・渋谷CLUB QUATTROで蟲ふるう夜にの約2年ぶりのワンマンライブ「蟲ふるう夜に ワンマンLIVE 2015 “スターシーカー”」が実施された。このライブは、昨年末にフィッシャー症候群にかかり活動を一時離脱した慎乃介(G)の復帰公演として6月4日に開催が予定されていたもの。しかし蟻(Vo)のインフルエンザ発症によりこの日に延期となった。
開演時刻を回った頃、場内が暗転し、スクリーンにバンドのシンボルマークから始まるオープニングムービーが上映される。最後に「蟲ふるう夜に」という文字が映し出された瞬間、ステージには逆光を浴びて悠然と立つメンバーたちの姿が浮かび上がり、場内は拍手と歓声に包まれた。1曲目は、慎乃介が病床で詞と曲を書いたという「君という光、僕の走る道」。復活を遂げた慎乃介はイントロのアルペジオを愛おしそうに爪弾き、間奏でオーディエンスのシンガロングが起こった瞬間「渋谷ー!」と絶叫。その勢いのまま「それでも鳴らす」「一緒に逃げよう」と畳みかけ、春輝(B)もステージ上を動き回って、オーディエンスを激しく煽っていく。
3曲が終わって、虫の鳴き声が響き最初のMCへ。蟻が「今、クアトロ、渋谷で5本の指に入るぐらい熱いと思わない!?」と呼びかけるとフロアから歓声が上がる。慎乃介は「ただいまー!」と照れ笑いを浮かべながら叫び、「おかえりー!」という声を浴びた。蟻は「延期とか病気とかいろんなことあったけど、でもそれは、今日ここにいてくれるみんなと、こういう特別な時間を作るために必要なことだったんじゃないかなと思った」と話す。
その後は郁己(Dr)のソロも挟みつつ、初期のナンバー「青の中の一つ」や「犬」、新曲のバラード「傘」などが続く。中盤では慎乃介、郁己、春輝の男性メンバー3人がこの日のために作ったというインストゥルメンタルを披露。跳ねるリズムにあわせてハンドクラップが巻き起こった。
再びメンバー4人がステージに集まると、「スターシーカー」の収録曲「同じ空を見上げてた」に参加したGOMESSがゲストとして呼び込まれた。2組は昨年、KAI-YOUのオフィス移転パーティで主催者をDisるフリースタイルを披露したGOMESSに対して、突然蟻が声をかけ「MUSHIFEST 2014」に出てもらう交渉を始めたという馴れ初めをトーク。そして兄弟愛や家族愛を歌った「同じ空を見上げてた」で歌とラップが絡み合うパフォーマンスを繰り広げた。
本編のクライマックスは「ホウセキミライ」「わたしが愛すべきわたしへ」といったバンドの代表的楽曲が投下され、蟻は「愛してるんだよ、クアトロー!」とファンへの愛を示す。最後の曲「スターシーカー」ではレーザーの青い光とミラーボールの光が会場を包み、幻想的な景色が広がった。
アンコールでは、蟻が「6月4日、みんな観に来てくれる準備もしてくれていたと思うんですけど、私インフルエンザになってしまってすいませんでした」としおらしく発言したかと思えば、「ここで暴露すると、全員インフルエンザかかってました!」と衝撃の告白。「そんな39.5℃の熱の中で『絶対、負けない。絶対、笑い飛ばしてやる。7月31日に絶対笑い飛ばしてやるー!』って思いながら書いた曲」という前置きから、現在サブスクリプション型音楽サービスのみで配信中の新曲「フェスティバル」を演奏した。
さらにダブルアンコールも求められ、4人は楽器を持たずにステージ前で1列に並ぶ。春輝は「光がみんなに当たった瞬間から、本当に涙が出てきて、最高の景色です。ありがとうございました!」、郁己はシンプルに「ありがとうございました!」と感無量の様子。慎乃介は「今日はありがとうございました。それしか言いようがない。またワンマンやります!」と力強く宣言した。蟻は「今日は本当に蟲ふるう夜にがこんなに皆さんに愛されて、幸せだなって改めて実感することができました。皆さんの期待にこれからもずっとずっと応えていけるバンドであり続けます! ついてきてくれますか!」と問いかけ、オーディエンスが一斉に手を挙げる。そして4人は手をつないで観客に一礼し、記念すべき渋谷CLUB QUATTROワンマンを締めくくった。