「ニッポン大好き」「日本はすごい」――日本のさまざまな魅力や不思議さについて外国人が綴った本がちょっとしたブームだ。
日本人の気づかない日本のすばらしさを、欧米人の目を通して伝えるというパターンが多い。クール・ジャパン人気や訪日観光客の急増など、最近の日本への関心の高まりを、本の世界でも見せつけている現象と言えそうだ。
毎月のように新刊「世界が日本に夢中なワケ」(宝島社)
「ドイツ大使も納得した、日本が世界で愛される理由」(幻冬舎)
「日本のことは、マンガとゲームで学びました。」(小学館)
「北欧女子オーサが見つけた日本の不思議」(KADOKAWA/メディアファクトリー)
「コモエスタ・ニッポン! ~世界で最も読まれているスペイン語ブログのひとつは日本ガイドだった」(宝島社)
「外国人が愛する美しすぎる日本」(大和書房)
「やっぱりすごいよ、日本人」(あさ出版)
「だから日本は世界から尊敬される」(小学館)
いずれもこの1年ほどの間に刊行された、欧米人の著者名による日本紹介本だ。ほとんど毎月のように新刊が出ている。長く日本に住んだ日本通の欧米人が書いているケースが多い。著者の顔ぶれは多彩だ。
「世界が日本に夢中なワケ」の著者ボビー・ジュードさんはフロリダ出身。北九州を拠点にイケメン・タレント、料理研究家として活躍中だ。「やっぱりすごいよ、日本人」などの著者ルース・ジャーマン白石さんはハワイ育ち。リクルート社員を経て、欧米系女性では初の宅地建物取引主任者に。「外国人が愛する美しすぎる日本」などの著者ステファン・シャウエッカーさんはスイス人。来日後、長く群馬県に住んで、外国人旅行者のためのウェブサイト「ジャパンガイド」を運営している。「北欧女子オーサが見つけた日本の不思議」の著者オーサ・イェークストロムさんはスウェーデン出身の漫画家。日本で感じた不思議を4コマ漫画で描いている。
消えゆく日本を惜しむ本も著者の中には駐日大使の経験者もいるが、どちらかといえばごく普通の人たちが目立つ。それぞれの仕事や体験を踏まえながら、なぜ「世界から愛されるか」を説いている。単に日本をほめるだけでなく、開発優先で消えゆく古き良き日本を惜しむものもあるが、少数派だ。
「ニッポン大好き」本が増えた背景のひとつには、近年のクール・ジャパン人気がある。実際、「日本のことは、マンガとゲームで...」の著者ベンジャミン ボアズさんは、4歳でスーパーマリオにハマった。その後、どのようにして日本のポップカルチャーに魅かれ、日本の魅力に目覚めていったか、体験をもとに伝えている。「北欧女子...」の著者オーサ・イェークストロムさんによれば、東京は「マンガ好き外国人にとっては天国みたいな」ところだという。
テレビでもしばしば登場する「日本人以上に日本通」の外国人たち。日本人の側からそうした人たちにスポットを当てた本も、このところ相次いで出版されている。
「ニッポンを発信する外国人たち」(洋泉社)は、日本酒、落語、禅、墨絵、和紙、古民家などに詳しい、在日10年以上の12人の外国人にインタビューし、彼らがなぜ魅せられたかを紹介している。
「クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン」(講談社)は、NHK BSの人気番組『cool japan』の司会者を10年以上つとめる劇作家の鴻上尚史さんが、番組で取り上げたテーマをもとに外国人たちの様々な見方を伝えている。
明治期以降、フェノロサやラフカディオ・ハーン、ブルーノ・タウトなど様々な欧米人が「日本美」を発見、それが日本人自身による日本再評価につながってきた。一連の「ニッポン大好き本」は、現代の日本人にどんな影響を与え、自らを見直すきっかけを作るだろうか。<J-CASTトレンド>