中国メディアの中国網は5日、中国国際関係学院の儲殷副教授による手記を掲載し、「対日戦勝記念日」が近づくにつれ、中国では「安倍政権の歴史認識」や「日本の軍事化」といった問題が注目を集めているとする一方、「中国が日本の全方位からの挑戦に直面していることが見落とされがちだ」と主張し、日本は中国の経済・文化面における最大のライバルだと論じた。
記事は、中国は政府や国有企業の主導のもとでアジアにおける影響力拡大を図っていることを指摘する一方、日本は東南アジアや中央アジアにおいて中国の競合相手となっていると指摘。日本のアジアにおける戦略のレベルは「中国に比べて見劣りする」としながらも、現地の社会に溶け込み、現地の人びとの支持を得ている点や、現地での投資の効率の高さといった点は一定の強みを持つと論じた。
さらに、アジア各国は政治や経済、文化、民族などがそれぞれ大きく異なるため、現地の状況を把握することが国外進出の成否を握ることになると指摘し、「日本企業は国外進出において細部まで気を使い、粘り強く取り組んでいる」と指摘。一方の中国は政府や国有企業主導であるため、責任者は自分の任期にあたる3-5年という期間中に結果を出そうとして相手国の調査などが不足する傾向にあると論じた。
また記事は、日本の企業は中国より少ないコストで、相手国において高い評価を獲得していると主張。その例として、「中国は巨額を投じて井戸を掘り、日本は井戸のできた地域で各家庭に丈夫な桶を配るやり方」だと形容したうえで、相手国の人びとは中国がどれだけ援助を行ったかを知らず、むしろ日本人のほうが良い評価を得ているのが現状だと主張した。
そのほか、中国はアジア各国を「中韓同様に日本の侵略の被害国だと認識している」とする一方、実際は東南アジア諸国は日本によって侵略される前は「非独立国であり、西側諸国の植民地だった」と指摘。日本が東南アジアに進出したことで東南アジア諸国は西側諸国から独立することができたと指摘し、現地のエリート層を惑わし、取り込みつつ、経済や社会面での援助を提供することで、日本は東南アジア諸国における国家イメージを修復することに成功したと主張した。
続けて記事は、日本と中国のアジアにおける力比べは「中国のぼっ興に伴い、激化している」とし、中国の戦略のほうが日本よりも優れているとしつつも、中国は国家戦略として日本を軽視すべきでなく、日本の長所を認め、アジアにおける日本の動きに警戒すべきであると主張した。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)