― 木村和久の「オヤ充のススメ」その81 ―
最近テレビでの食事シーンをみるたびに、箸を正しく使えてない人の多さに驚く。一番凄い方は、クワマンこと桑野信義さんで、すでに伝説化し、せんだってはネタとしてテレビに登場していた。何しろドラえもんが箸を使ったら、こんな感じという持ち方で、じゃんけんのグーをしたまま持っているんだから。本人も最近は気にしているらしく、現在は練習してちゃんと箸を持てるようになったそうだ。以前は料理関係の番組で、スタッフからダメ出しされたくらいだから、ほんと独特だよね。
桑野さんは例外だが、でもアイドルや若手芸人などに、奇妙な持ち方をしている人をちらほら見かける。一応テレビなんだから、少しは気を使って欲しい。あまりにも変な箸の持ち方の人は、フォークやスプーンなどに変えて、食事シーンを撮ればいいと思う。テレビに出るというのは、人さまの模範となるわけだからね。まあ箸の持ち方はいいとしても、今度問題になるのは、箸の使い方だ。綺麗に2本の箸で三角形を作る正統派の箸使いを、できる人はほんと少ない。グルメリポーターなども、全然使えていないし、落語家とか、最近お寺の番組やっているんだけど、そこでの若い坊さんも全然ダメだった。
こんなことを書くと、小言を言う嫌なオヤジに聞こえるが、もう若者には、正しい箸の使い方を期待してない、というよりも期待できないのだ。なんでかというと、すでに教える側の50代~60代がダメなのだ。正しく箸を使える熟年世代は、2割もいないんじゃないか。箸を正しく使えない家庭に育った子供が、大人になって箸を使えるはずがない。ここで負のスパイラルが起こり、あと50年もしたら、箸を正しく使える人間を、街中で見かけることはなくなると思う。
さて困った、どうすんだってことだが、やはり和食が世界無形文化遺産になっている都合上、このまま放置しておくわけにはいかない。というか、一応和食は食べ物以外にも食器などのトータルで文化遺産になってるわけだから、マナーや食べ方も当然入ってきますわな。
そういう意味で考えると、箸使いをすたれさせたのは、国の怠慢だよね。今更授業とかで箸の使い方を教えられないし。そうなると和食文化保存チームを造って、ある職種の人々は、正しい箸使いをするようにする、これしかない。
つまり割烹とかで、新人の従業員は大根のかつらむきを覚える前に、正しい箸の使い方を覚える、これでんがな。当然和食の料理学校も同様、調理実習の前に、箸の正しい使い方を覚えるってことですよ。
というわけで、箸文化救済策を細々と書いたが、ここで起死回生の大逆転プランを披露しよう。なんと「箸文化」そのものをピックアップして、世界無形文化遺産にするアイデアはどうだ。しかも、これは日本のみじゃない。最近の世界遺産登録でいちゃもんをつけて来た、韓国も入れる。もちろん中国も参加だ。日中韓の3国共同提案で、箸を正しく持って、使う文化を世界的に広めればいい。さらに南の島々を巡ってトラブっているベトナムも参加させて、箸文化においては、東アジアの偉大なる食文化の象徴として、各国とも足並みを揃えてもらう。
まず手始めに、箸文化4ケ国で、ピーナッツ100コの皿移し競争をしてもらいますか。最初のきっかけづくりは、そこからだね。
■木村和久(きむらかずひさ)■