実写映画化の発表以来、常に賛否の話題が飛び交っていた映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』。8月1日の公開以降も論争は加熱。映画関係者や原作ファンを含め、活発な意見交換が繰り広げられている。なかには厳しい発言も見受けられるが、そんな中、ネット上では石原さとみ演じたハンジや、本郷奏多扮するアルミンに対する高評価が目立つ。特に石原には「ハンジは素晴らしくはまっていた」「さとみハンジのクオリティが高い」と賞賛の声が上がっている。
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公開初日の舞台挨拶で石原は「不安」という言葉を何度も口にし、ハンジ役の評判を気にしてエゴサーチしてしまう自分がいることを明かしていた。大人気コミックやアニメーションの実写映画化は、作品を愛するファンが多いだけに、否定的な意見が付きまとうことが多い。
本作も、常に原作ファンから「心配」という感情が前提の叱咤が続いている。石原演じるハンジは、兵器隊長として人間の敵である巨人を駆逐するために命を捧げている一方、その探究心から、巨人を寵愛するマッドサイエンティストという二面性を持つ、原作でも人気のキャラクターの一人だ。当然ファンからの注目度も高く、話題に上がることも多かった。石原にかかるプレッシャーは並大抵のものではなかったと想像できる。実際、キャストが発表された際には「ハンジに石原さとみは合わない」という意見も聞かれた。
「客観的になると押しつぶされそうになる」というプレッシャーのなか、石原は、アニメーションや原作コミックを熟読し、徹底的にハンジというキャラクターの理解に努めた。声のトーンやスピードなどはアニメから、癖や性格はコミックから……。「巨人愛好家」という一面を持ち、徹底的に巨人を研究するハンジさながら、石原も「ハンジ愛好家」としてキャラクターを愛していった。
そんな石原の姿勢が作り上げたハンジ。公開後、前述のとおり、石原の演技に多くの賞賛の声が上がった。一見すると、キャラクターに寄せていった技術的な部分を評価しているように感じられるが、ファンの心の中には「ハンジというキャラクターと向き合った石原の熱量」に共感したのではないかと思わせる意見も多い。ファンと同じく、演じる側も『進撃の巨人』という作品を愛していることが伝わったのだろう。
公開後、石原は、本作の公式LINEアカウントで、多くの批判を受け入れつつも、『進撃の巨人』に携わったスタッフ、キャストたちの「作品に対する愛」の強さを訴えた。「楽しみでありつつも、公開日が怖い」と語っていた石原だが、劇場に詰めかけた多くのファンから受けた拍手に安堵の表情を浮かべていた。この後、スピンオフドラマの配信をはさみ、劇場版後篇へと続く『進撃の巨人』。まだまだ物議を醸すことは間違いないだろうが、賛否ともども、作品に対する愛にあふれた意見は、今後の日本映画にとってプラスになることだろう。