その結果、風が吹けば桶屋が儲かる的なことも。
イケアは、先月8万3000エーカー(約336平方キロメートル)の森を購入しました。アップルは、今年の4月に3万6,000エーカー(約146平方キロメートル)を。
昨年、フェイスブック、グーグル、ウォルマート、それに前述のイケアとアップルなど、テック及び小売系の巨大企業は、風力や太陽光など再生可能エネルギーの発電所を建設したり、購入したりしました。また、ほぼ同数の企業が、会社で使用する電力はすべて再生可能エネルギーにすると誓っています。
イケアはこれを「エネルギーの自立」だと言っています。フェイスブックは、すでにすべてのデータセンターの電力を再生可能エネルギーでまかなっています。今後は、紙や木材の原料となる森林を購入することで原産地を管理し、サプライチェーンを大幅に減らそうとしています。
先週ウォール・ストリート・ジャーナルは、イケアがルーマニアとバルト海沿岸のおよそ10万エーカー(約405平方キロメートル)の森を購入したと報じました。イケアは、ロシアでの行き過ぎた森林伐採によって、昔ながらの価値ある森林を破壊していると訴えられています。そのため、ロシアではこれ以上森林を伐採せず、代わりにルーマニアで森林を育て、会社運営のための再生可能な資源をつくるために森林を管理するようです。
また、イケアは家具の生産のために、世界の森林の1%にあたる木材を使用しています。今後5年間でそれを半分に削減する計画も立てており、使用する以上の森林を育てるべく“森に優しい”企業になろうとしています。
イケアと同じくアップルも、最近メイン州とノースカロライナ州の3万6000エーカー(約146平方キロメートル)の森林を購入しました。この森林は、“ワーキング・フォレスト”(林業だけでなく、観光、鉱業、牧場、レクリエーション施設など幅広い利用が可能な土地)であったり、産業用の再生可能な木材やパルプの生産地として稼働しています。
このプロジェクトをアップルと協業しているコンサベーション・ファンドは、ワーキング・フォレストはすごい勢いで開発されてきたと言っています。これは商業的に良くないニュースなだけでなく、業界に関係なく森林にとっても良くないニュースです。アップルのLisa Jacksonは、今回の森林購入についてこのように説明しています。
---------------------------------------コンサベーション・ファンドとのプロジェクトの目標は、ワーキング・フォレストが生産する以上の紙製品を使わないように制限をもうけることです。「持続可能な収穫を確保し、森林以外に土地を使用することを制限する」ためのプロジェクトなのです。
このような考え方は比較的新しく、ハーバード大学の生態学者David Fosterなどが提唱してきたものです。2009年にフォスターは、森林管理に関する自身の研究についてニューヨーク・タイムズに語っています。
---------------------------------------今のところ、イケアやアップルは企業なので、生態学者や自然保護活動家とは目標はかなり違います。しかし巨大企業が、これまで伐採してきた森林を、今後はより良く管理しようと活動することで、少しは一般の私たちも、森林保護や森林管理に対する意識が高まるのではないでしょうか。
企業のワーキング・フォレストの活用が、昔ながらの森林や壊れやすい生態系の保護につながっていたというわけです。営利を追及した先に、非営利と同じゴールが待っていたというのはかなり興味深いです。これが、この先10年でどんな結果を生むのか楽しみですね。
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Kelsey Campbell-Dollaghan - Gizmodo US[原文]
(的野裕子)